競馬PRESSBACK NUMBER
安田記念でダノンキングリーを“復活”させた萩原師はダービー馬もよみがえらせていた 「皐月賞は仕事として失敗してしまった」
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2021/06/11 06:00
安田記念で圧倒的1番人気のグランアレグリアにわずかに先着したのが、8番人気のダノンキングリーだった
ダービーの2日前、前日に異例の調整
具体的には東京競馬場での本番を見据え、左回りでしか調教をしないようにした。また、レースを直後に控えた金曜、土曜には角馬場で左回りに十数周にわたって乗り込んだ。ダービーの2日前、そして前日に角馬場で乗り込むなど、異例の調整法だった。
「稲垣君の案でした」
指揮官はそう言った。「稲垣君」と言われたのは、現在の稲垣幸雄調教師。当時は萩原調教師の右腕として厩舎で調教助手をしていたのだ。
「稲垣君は人間としてもその仕事ぶりも信頼のおける人物でした。その彼が言うのなら、と取り入れてみました」
この調整には勿論、理由があった。
「大きく2つありました。1つは鞍上の指示とロジユニヴァースの行動を一致させる事、そしてもう1つはロジユニヴァース自身の体をほぐす事、でした」
過去最高の数字で雰囲気はすごく良くなっていた
更にダービー当日に装鞍所とパドックをスクーリング。体重はプラス16キロの506キロと、戻したどころか過去最高の数字をマークした。
「勝ち負けは分からないけど、雰囲気はすごく良くなっていたので、まともな競馬は出来そうだと感じました」
そこに文字通り恵みの雨が背中を押した。昼休みのダービー騎乗騎手紹介時には曇っていた空から雨が降り出すと、一時はバケツをひっくり返したような豪雨になった。これに伴って馬場状態は一気に悪化して不良となったのだ。
結果的にこの馬場状態も味方についた。最内1番枠からスタートを決めたロジユニヴァースはそのまま先行。各馬が伸び悩んだ最後の直線で、水しぶきをあげながら抜け出すと、最後は2着のリーチザクラウンに4馬身もの差をつけて堂々と先頭でゴールに飛び込んだのだ。