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鳥谷敬から「守護神してるんですねぇ(笑)」能見篤史41歳、オリックスでの兼任コーチは“大変じゃない”
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph bySankei Shimbun
posted2021/05/22 06:00
コーチ兼任選手としてオリックスに加入した能見篤史(41歳)。苦しいブルペン事情を支える活躍を見せている
「やっぱりうまくはいかないなーとは思いながら、なんとか、ランナーを返さないためにはどうしたらいいのかを考えていました。どっちかといえばゴロをしっかり打たせていくイメージで頭を整理しながら、自分の持てるものをしっかり出そうとは思っていました」
代打アルフレド・デスパイネ、1番・川島慶三に対し、「あの試合はそこまでしつこくインコースに行っていなかったので、ちょっとそこを意識させたいなと」キレのあるストレートでインコースを攻め、熟練の投球術でタイミングを外す。2人を狙い通りの内野ゴロに仕留め、能見は笑顔でガッツポーズを作った。
阪神でのラスト登板となった昨年11月11日以来の、通算3セーブ目。41歳11カ月でのセーブは球団最年長で、40代の選手が2球団でセーブを挙げたのは史上初だ。
能見は5月8日のロッテ戦でも9回に登板して今季2セーブ目を挙げ、その日、通算1500奪三振も達成した。
能見さん、守護神してるんですねぇ(笑)
その翌日のことだった。
「能見さん、守護神してるんですねぇ(笑)」
阪神時代の盟友・鳥谷敬(ロッテ)が、試合前に声をかけてきた。
「こっちも想定外や」と能見は笑って返した。
「まさか9回に僕がマウンドに上がってるなんて、たぶんトリも想定してなかったと思うし、僕もそう。まさかそこで投げてるとは。阪神でも、何かのアクシデントがない限りは、9回のセーブシチュエーションで投げることはほぼなかったので」
3度続けて9回に登板した能見に、「今は能見さんがクローザーという認識でよろしいんですよね?」と聞くと、「いや、ダメですね」と即座に否定された。
「平野もヒギンスもいない状況の中、そこ(9回)が難しくなっていて、たまたま僕が、いろんな経験をしてきてるので、それを踏まえてやってはいますけど、この前(15日)の楽天戦は僕ダメだったし、そこはいろんなピッチャーに助けてもらいながら。
抑えができる能力を持っている選手は非常に多い。あとは経験だとか、いろんなものが積み重なれば、全然できるという選手たちなので、オリックスのためには、僕がするより、他のピッチャーが行くほうが全然いいです」