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「日本の時のいい部分を取り入れる」ドジャース移籍の筒香嘉智が納得した“再生計画”の全貌とは
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byAFLO
posted2021/05/21 11:02
ドジャースでの背番号は28。チーム合流後2日目の18日に「7番レフト」でスタメン出場を果たした
その一方で、昨季のワールドシリーズで熱戦を繰り広げたレイズから筒香を獲得したドジャースは、事前に筒香再生へのイメージを持っていた。他球団との自由競争を避け、ウェーバー期間が明ける前の時点で、トレードを仕掛けたのが、何よりもその表れだった。
デーブ・ロバーツ監督は、筒香の潜在能力を疑うことなく言った。
「日本での明らかな実績もあるし、彼はプロフェッショナルな打者。彼本来の状態でいてほしい。(課題とされる)速球の対応にしても、メカニックなことを含め、コーチ陣とコミュニケーションを取っていけばいい。可能な限り、打席に立つ機会を与えたいし、かつての状態に戻ってくれればいい」
ドジャースの提案は「好調時への回帰」
17日の合流後は、早速、コーチ陣らと話し合いを行った。昨年来、メジャーに適応するため、フォームを改良した筒香に対し、コーチ陣はDeNA時代の映像を一緒にチェックし、本来のスイングに回帰する方向性を提案した。試行錯誤を続けてきた筒香にしても、納得できる修正ポイントだった。
「完璧に戻すというのではなく、日本の時のいい部分をもう1回取り入れようということ。新しい形でやって行こうということです」
主力に故障者が続出し、5月18日の時点で地区3位に留まるドジャースにとって、緊急補強したアルバート・プホルスと筒香は、ワールドシリーズ連覇への足場を固めるうえでの起爆剤であり、キーマンとも言える。
ドジャースでの“デビュー戦”は、2打数無安打ながら、しっかりと2四球で出塁。どっしりと落ち着いてストライクゾーンを見極める選球眼が戻れば、本来の打撃を取り戻す日も近い。
地元ファンの前で快勝した試合後――。
開幕以来、心なしか伏し目がちだった筒香の頬が、いつになく紅潮して見えたのは、おそらく気のせいではない。