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「日本の時のいい部分を取り入れる」ドジャース移籍の筒香嘉智が納得した“再生計画”の全貌とは
posted2021/05/21 11:02
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
AFLO
すでに、気持ちは切り替わっていた。
レイズからトレードでドジャースへ移籍した筒香嘉智が5月18日、新天地で初めてスタメンに名前を連ねたダイヤモンドバックス戦の試合前、本拠地ドジャースタジアムでオンライン会見を行った。
「伝統のあるチームに入れてうれしく思います。すごくワクワクしています」
蒸し暑いフロリダから、透き通るような青空が広がるカリフォルニアへ――。
2017年のWBC準決勝で米国と戦った舞台が、ドジャースタジアム。その後、自主トレでも同地を訪れるなど、なじみ深い西海岸が新たな本拠地となった。
「大きい日本人コミュニティーもありますし、非常に生活しやすいと思います」
どんよりと曇っていた気持ちが晴れたかのように、前向きな言葉を続けた。
4月1日。メジャー2年目の開幕は、ほぼ万全の状態で迎えたはずだった。コロナ禍でキャンプが中断し、変則日程の60試合に短縮された昨季の教訓を生かし、キャンプでの調整も開幕から逆算してコツコツと丁寧に進めた。
悪循環に陥った理由
実際、開幕戦から「1番一塁」で起用されるなど、主軸としての期待も大きかった。だが、「好きでも嫌いでもない」と言った不慣れなリードオフマンの役割にも戸惑い、結果は伴わなかった。鋭い打球がシフトの正面を突くなど、結果につながらないことで、いつしか悪循環に陥った。
「考え過ぎた部分があった。自分の中で崩れてしまった」
持ち前の選球眼を生かせず、出塁率が低下しただけでなく、悪球に手を出し、三振数も激増した。その後、下位打線に配置転換されても、快音は影を潜めた。好感触を感じ始めた4月中旬には、新型コロナウイルスのワクチンを接種した影響で体調不良を起こした。復帰した際、それまでの上昇気配は、アッという間に手放していた。結局、26試合に出場し、打率1割6分7厘、0本塁打、5打点。11日にメジャー40人枠から外れた。
レイズでは本来の実力を発揮できず、不本意な時期が大半だった。だが、プロ野球選手として、戦力として必要とされ、新たな職場が見つかれば、前を向くしかない。
「レイズで貢献できなかったという思いはありますが、今はプレーできる機会を頂けて感謝しています。トレードですから僕が選択したわけではないですが、すばらしいチームに来ることができてうれしく思っています」