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【解任の舞台ウラ】浦和戦に向けたインタビューから3時間弱で… ガンバ番記者が知る“宮本恒靖前監督のこだわった条件”と今後 

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下薗昌記

下薗昌記Masaki Shimozono

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posted2021/05/16 11:04

【解任の舞台ウラ】浦和戦に向けたインタビューから3時間弱で… ガンバ番記者が知る“宮本恒靖前監督のこだわった条件”と今後<Number Web> photograph by J.LEAGUE

宮本恒靖監督、解任。“降格4枠”の2021シーズンにあって、ガンバ大阪が下した判断はどのような結果を呼ぶのか

「突然の交代ということもあって、なかなか外部からということも考えられなかったので、チームを一番よく知っている松波が適任だということで今回、彼に任せました」

 後任の選定どころか、リサーチさえ行っていない段階で、松波正信強化アカデミー部長に後任監督を兼任させざるを得なかったガンバ大阪だが、決め手となったのはやはりサンフレッチェ広島戦での戦いぶりである。

流れの中で奪ったのは宇佐美の1点のみ

 10試合を終えてわずか1勝にとどまるだけでなく、得点数はわずかに3。流れの中で奪った得点は宇佐美貴史による1点のみというクラブ史上例を見ない低調な数字が並んでいる。

 過去3シーズンは堅守速攻をベースに勝ち点を稼いできた宮本前監督だったが、皮肉にも攻撃サッカーへの転換が足かせとなった感は否めない。

 この試合の後半、ガンバデビューを飾ったウェリントン・シウバは「正直、皆が自信を失っているのかなと感じる」とチームの現状をこう看破したが、合流してまだ2週間程度に過ぎないブラジル人助っ人の見立ては当たっていた。

攻撃的なコンセプトながら「水物というか」

 最終ラインを束ねる三浦弦太も言う。

「新しく入ってきたウェリントンやレアンドロともコミュニケーションを取るけど『対戦相手だった時、もっとガンバの選手は自信を持ってボールを保持している印象があったけど、今はバックパスが多くなったり、前方へというよりは失わないようにという消極的な感じがある』という話は出ていた」

 攻撃的に戦うコンセプトは持ちながらも「攻撃は少し水物というか、取れるときにはたくさん取れるというのもある」と持論を話していた宮本前監督。スカウティングには熱心で、相手の良さを消す手腕には確かなものがあるが、人を配置するだけで攻撃サッカーが機能するほど甘くはない。

 皮肉にも昨年までレアンドロ・ペレイラとチームメイトだった広島の佐々木翔は、彼のチャンスを見事に封じたが、一方でその能力をこう絶賛するのだ。

「アイツがトラップをした瞬間にとんでもないシュートが来ることを、去年は一番近くで見ていた。ひと振りで点を取れる選手はなかなかいないし、国内にいる選手の中で右足のひと振りはトップレベルだと思う」

 そんなレアンドロ・ペレイラら実力者を生かすも殺すもやはり周囲のお膳立てなのである。

【次ページ】 過去3年、夏場の成績が雄弁に語る

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