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【解任の舞台ウラ】浦和戦に向けたインタビューから3時間弱で… ガンバ番記者が知る“宮本恒靖前監督のこだわった条件”と今後
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/05/16 11:04
宮本恒靖監督、解任。“降格4枠”の2021シーズンにあって、ガンバ大阪が下した判断はどのような結果を呼ぶのか
指揮官にとっても大きなチャレンジだった攻撃サッカーへの転換だったが、就任以来、基本的には相手の良さを消すことを重視し、リアクションスタイルのサッカーで結果を出すのに長けていたのが宮本前監督だった。
過去3年、夏場の成績が雄弁に語る
残してきた3シーズンの夏場の数字が雄弁に語る。
2018年 1勝2分け3敗
2019年 1敗4分け
2020年 1勝1分け3敗
運動量とハードワークをベースにするスタイルは、夏場と相性が悪く、毎年秋以降に猛追を開始するのは偶然ではなく、そのスタイルゆえの必然だった。
「昨年、しっかりと作った守備のベースを生かしながら、もっと攻撃したい。我々のクラブが持ち続けている伝統的なものを出す」
1月の新体制会見で、こう所信表明した言葉通り、新たに4-3-3のフォーメーションを採用。富士ゼロックススーパーカップでは川崎に2対3で競り負けたものの、その戦いぶりは今後に期待感を抱かせるに十分なものだった。だが、10試合を終えた段階での勝ち点7は、奇しくもクラブ史上初の降格を余儀なくされた2012年と全く同じ数字だ。
もちろん、松波監督は“9年前の悪夢”を忘れていない
新たに指揮を託された松波監督は、もちろん9年前の悪夢を決して忘れてはいない。
「試合数がまだ少ないとはいえ7月と8月は過密日程になる。1試合ごと勝ち取っていかないといけない」
基本的には暫定で指揮を執ることが濃厚な松波監督だが、ガンバ大阪にとって徳島ヴォルティスと横浜FCとの下位直接対決が待つ5月の戦いは、早くも正念場だ。未消化の試合が5試合残ってはいるものの、中2日のペースで続く代替日程で得られる勝ち点は、あまりも不透明である。
「色々なことにチャレンジしないといけないという意識が選手にも強すぎた。シンプルにゴールに向かう、シンプルにボールを奪いに行く、シンプルに守るという作業をやるためにどういうプレーしたらいいかを整理した」(松波監督)
選手の顔ぶれと実力に疑いの余地はない。ただ、一度狂った歯車を戻す作業が簡単ではないことを、「ミスターガンバ」はチームを率いた9年前に知っている。
当面、監督として指揮を執る手腕と、新たに迎える予定の監督のチョイスを含め、その力量にクラブの浮沈がかかっている。
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