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【ヴィクトリアマイル】グランアレグリア“大阪杯完敗”も得意の距離では? ルメールも恐れた“圧倒的末脚”は健在か
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2021/05/15 11:02
大阪杯ではルメールを背に4着と振るわなかったグランアレグリア。実績のあるマイルレースで持ち味を取り戻せるか
「グランアレグリアが最も怖い相手でした」
「若い時と比べ体ががっちりしてきて、調教もそれほどやらなくても力を発揮出来るようになったのが大きいですね」
藤沢調教師がそう言うように、この時の体重は492キロ。2年前のデビュー戦が458キロだったから、グンと成長した事が分かる。アーモンドアイで苦杯をなめたルメール騎手は述懐する。
「グランアレグリアが最も怖い相手でした。負けるなら彼女だと思いました。アーモンドアイも良く走っていますけど、グランアレグリアがそれ以上のパフォーマンスをしたので仕方ありません」
ここでひと息入れたグランアレグリアは、秋には鞍上をルメール騎手に戻し、スプリンターズS(GI、中山競馬場、芝1200メートル)で再びスプリント戦に挑戦した。更に大きくなった504キロの体でここに臨むと、高松宮記念同様、前半は後方に置かれた。4コーナーでも先団とは大きく離されており、この時の心境をルメール騎手は「正直言うと……」と話した。
「この位置から勝つのはかなり難しいと思いました。だから、次のレースのために少しでも差を詰めておかないと、と考えて追いました」
20年の成績はGIばかりを4戦して3勝2着1回
ところがパートナーはリーディングジョッキーのそんな考えをも凌駕する末脚を爆発させる。33秒台の脚で一気に追い込むとアッという間に先頭に立ち、最後は2着のダノンスマッシュに2馬身の差をつけてGI連勝のゴールに飛び込んだ。
「中山の1200メートルであんな競馬が出来れば、京都の1600メートルはもっと楽に走れるはずです」
ルメール騎手がそう考察した通り、続くマイルチャンピオンシップ(GI、阪神競馬場、芝1600メートル)も優勝。直線入り口では馬群の中に押し込まれる厳しい競馬になったが、一旦下げて外へ持ち出すと、ここも最後はゆうゆうと抜け出した。レベルの高いメンバーが揃ったGIとは思えないほど、抜けた強さの走りを披露したのだ。
これで20年の成績はGIばかりを4戦して3勝2着1回。JRA賞最優秀短距離馬に選出されたのはもちろん、アーモンドアイに完勝した星もあった事から年度代表馬の部門でも票の入る成績を残して見せた。