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NHKマイルC優勝、シュネルマイスターの背でルメールが見ていた“ソングラインの僅かな動き” とは【種牡馬としての成功が約束された?】
posted2021/05/10 11:40
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
名手の好騎乗によって、マイル界に将来が楽しみなニューヒーローが誕生した。
昨年につづいて無観客で行われた第26回NHKマイルカップ(5月9日、東京芝1600m、3歳GI)で、クリストフ・ルメールが騎乗する2番人気のシュネルマイスター(牡、父キングマン、美浦・手塚貴久厩舎)が優勝。外国産馬による同レース優勝は2001年のクロフネ以来20年ぶりで、キャリア4戦での勝利は12年のカレンブラックヒルに並ぶ最少タイ記録となった。
「ペースが速く、シュネルマイスターには忙しかった」
この日の東京芝コースは3勝クラスのマイル戦で1分32秒0の時計が出る高速馬場。NHKマイルカップも同じくらいかそれ以上に速い時計で決着することが予想された。
そうしたなか、ゲートが開いた次の瞬間、ハナを切ると見られていた3番人気のバスラットレオンが躓き、騎手が落馬した。もし観客が入っていたら、場内が騒然としていただろう。
残った17頭のうち、最も速いスタートを切ったのはランドオブリバティだった。体半分ほど抜け出したが、鞍上の石橋脩は手綱を引いて抑え、外のピクシーナイト、ホウオウアマゾンらを先に行かせた。
川田将雅が手綱をとる1番人気のグレナディアガーズはそれらから2馬身ほど遅れた好位の6番手。
クリストフ・ルメールが騎乗する2番人気のシュネルマイスターは、さらに3、4馬身離れた中団につけている。
「馬にプレッシャーをかけたくなかった。いいスタートを切ったけど、ペースが速く、シュネルマイスターには忙しかった。でも、だんだん流れに乗ってくれました。呼吸も、手応えもよかったです」
ルメールがそう話したように、バスラットレオンがいなくても前半800mが45秒3というハイペースになった。後半800mが46秒3だったから、前半のほうが1秒も速かったわけだ。こうなると、前のほうにつけた馬は最後に苦しくなる。