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NHKマイルC優勝、シュネルマイスターの背でルメールが見ていた“ソングラインの僅かな動き” とは【種牡馬としての成功が約束された?】 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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posted2021/05/10 11:40

NHKマイルC優勝、シュネルマイスターの背でルメールが見ていた“ソングラインの僅かな動き” とは【種牡馬としての成功が約束された?】<Number Web> photograph by Kyodo News

NHKマイルカップをハナ差で制したルメール騎乗のシュネルマイスター

ソングラインがちょうどいい目標に

 ピクシーナイトが先頭のまま3、4コーナーを回って行く。

 コーナーを回りながらポジションを上げたグレナディアガーズが楽な手応えで外から進出し、先頭に並びかけるほどの勢いで直線に向いた。2馬身ほど後ろに池添謙一のソングラインがおり、さらにシュネルマイスターがつづく。

 ラスト400m付近でグレナディアガーズがスパートし、その外にソングラインが併せに行く。ラスト200m地点でソングラインが前に出た。

 ルメールは、その攻防を後ろから見ながらゴーサインを出した。

「エンジンがかかるのにちょっと時間がかかりましたけど、池添さんの馬(ソングライン)がちょうどいい目標になりました」

 完全に抜け出したソングラインの外から、シュネルマイスターが猛然と末脚を伸ばす。1完歩ごとに差を詰め、内のソングラインに並びかけ、そして、鼻差だけ前に出たところがゴールだった。

「馬がやわらかくて、子供っぽいところがありますが」

 勝ちタイムは1分31秒6。レースレコードにコンマ2秒及ばないだけだった。シュネルマイスターは重賞初勝利をGI制覇で飾った。

「2着の馬はちょっとモタれていたと思いますので、そのぶんかわすことができました。届いてくれてよかったです」

 そう話したルメールは、あれだけ激しく追いながら、内のソングラインの僅かな動きまで冷静に観察していたのだ。

「まだ馬がやわらかくて、子供っぽいところがありますが、能力があります。さらにパワーアップしたら、もっと上のレベルでも勝てると思います」

【次ページ】 種牡馬としての成功が約束された感も

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