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【世界戦直前取材】「20代前半で天国と地獄を経験した」“異色の元世界王者”高山勝成が明かす、37歳でもボクシングを続ける理由
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byEd Mulholland/Matchroom
posted2021/05/08 11:01
日本時間の5月9日、“37歳のチャレンジャー”高山勝成が危険なタイトル戦に臨む
確かに世界チャンピオンにはなれましたし、ミニマム級の4団体制覇もできましたが、そこに辿り着くまではたくさんの苦労であったり、嫌なことであったり、いろんなことを経験してきました。海外でも、日本国内でも、納得いかない判定もありました。
勝ったり負けたりする中で、何かを学ばないと負け続けてしまう。満足するか、心が折れるかして、そこで引退してしまうというのはよくある話です。自分は過去の失敗を次に繰り返さないように、できるだけ試行錯誤して前に進みます。乗り越えたり、乗り越えられなかったりもしますが、何とか前進しながらここまできています。言葉にするのは難しいのですが、そういった様々な経験が自分の戦うモチベーションになっているのだと思います。
今回の試合はまた新たな挑戦です。この戦いに勝たなければ、自分の年齢も考えれば、タイトル戦線に残っていくのは難しくなっていくでしょう。もちろん日本国内の世界王者たちとの対戦も遠ざかってしまいます。このように海外からオファーをいただいたことに対して本当に感謝しているとともに、リングの上で思い切り戦ってタイトルを奪取しようという気持ちです。
「プロボクサーは選手寿命が長くはない」
自分はプロとして2つやり残したことがあって、そのうちの1つは2階級制覇とWBAのタイトル獲得。あともう1つあるんですけど、それはここでは言えないです。今はまだそれを言う立場ではないので、その時がきたらお話しできたらなと思っています。
野球とか、ゴルフとかいろんなスポーツがありますけど、プロボクサーは選手寿命が長くはないじゃないですか。軽量級は特にそうです。僕の現役生活ももしかしたら今年1年で終わるかもしれない。だからこそ現役の時に1つでも悔いは残したくないんですよ。
現役中にやれることを精一杯やって、精一杯ベストを尽くす。その気持ちが、これまで自分が海外だったり国内で残してきた結果につながっているところもあります。だから1つも悔いを残さないように、言葉は大げさかもしれないですけど、今を全力で生きるようにしているんです。