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世界のゴルファーが東京五輪を辞退する理由 “世界ランク1位”に続きあの人気者も…それでも松山英樹は「金メダルを目指す」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/05/06 11:03
112年ぶりに競技復活したリオ五輪で金メダルを獲得したジャスティン・ローズ。ヘンリック・ステンソンとの熱戦を制した
東京五輪の2週前には全英オープンがあり、東京五輪の直後には世界選手権シリーズのフェデックス・セント・ジュード選手権が続く。翌週にはレギュラーシーズン最終戦のウインダム選手権が続き、その翌週からはプレーオフ・シリーズ3連戦に突入する。
ジョンソンの言葉を借りれば、五輪の前後に目白押しのビッグ大会こそが「僕にとって大きな意味のある流れ」であり、その流れの真っ只中、しかもコロナ禍の中で、わざわざ太平洋を渡って不慣れな日本で五輪に出るより、過密スケジュールを避けて「大きな意味のある大会」にしっかり備えたいというのが彼の考えなのだ。
そして、ジョンソンが掲げた理由や事情は、米ツアーで戦う他の五輪出場候補者にも、そのまま当てはまるわけだから、他選手たちもジョンソン同様に「僕も過密スケジュールを避けたい」「だから東京五輪には出ない」と連鎖的に辞退者が出る可能性はある。
アダム・スコットは「家族の時間」
実際、4月にはオーストラリアのアダム・スコットが2人目の出場辞退者となった。スコットが出場辞退した理由は、突き詰めればジョンソン同様の「過密スケジュール」だが、スコットがプライオリティとして掲げたものは、ジョンソンとは異なる。
「僕の家には3人の幼い子どもたちと妻がいる。東京五輪のタイミングは、週に2、3日という単位ではなく、ある程度の長さのある一定期間、ファミリーと過ごすことができる唯一のチャンスなんだ」
つまり、ジョンソンは「東京五輪前後のビッグ大会」が最優先、スコットは「家族と過ごす時間」が最優先ということ。言い換えると、彼らにとって五輪は、それらよりプライオリティが低いという意味になる。
それは、幼いころから五輪出場を夢見て切磋琢磨してきた他競技のアスリートたちから見れば、信じがたい考え方に違いない。
しかし、今現在のゴルフ界に生きる選手たちが、そう考えることは、ある意味、無理もないことだと思える。