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原監督が望んだ「本当の意味でのパワーヒッター」がついに巨人に…「5番スモーク」は打倒ホークスへの起点となるか
posted2021/04/30 11:40
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
名刺代わりの一発だった。
4月28日のヤクルト対巨人戦。3回に巨人の新助っ人、ジャスティン・スモーク内野手が放った一打は、高々と舞い上がって神宮球場の右翼席上段に飛び込んでいった。
3回無死。ヤクルト先発のアルバート・スアレス投手の初球のチェンジアップを完璧に捉えた打球に、右翼のドミンゴ・サンタナ外野手は一歩も動けなかった。完璧。まさに「打った瞬間」の本塁打だった。
「変化球にしっかりコンタクトできた。打てて嬉しいね」
来日初アーチ。それでも当のスモークはクールに振り返った。
本物のメジャーのパワーを見せつけた
メジャー通算196本塁打。トロント・ブルージェイズ時代の2017年にはシーズン38本塁打を放った長距離砲の実績もある。
個人的に印象に残っているのはシアトル・マリナーズ時代の2012年、イチローの凱旋試合となったマリナーズとオークランド・アスレチックスとの日本での開幕シリーズ。その試合で当時、まだまだ全盛期だったアスレチックスのエース、バートロ・コロン投手から放った本塁打だった。
決して会心の一撃ではなかった。むしろ擦って逆方向にフラフラっと上がったような打球に見えた。それでもそんな当たりで東京ドームの左翼席まで運んでしまった。
擦ってもスタンドに入る――それはこの選手の持つ本物のメジャーのパワーを、見せつけた一発でもあった訳だ。
そして来日6打席目に放った飛距離十分の一発。これもまたこのスイッチヒッターが、改めて“本物”であることの証でもあった。