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原監督が望んだ「本当の意味でのパワーヒッター」がついに巨人に…「5番スモーク」は打倒ホークスへの起点となるか
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2021/04/30 11:40
4月28日のヤクルト戦、3回無死、スモークが右越えに来日初本塁打を放った
第1戦。巨人は2回に指名打者に入った阿部慎之助捕手(現二軍監督)がソフトバンク先発の千賀滉大投手から右翼席に先制ソロ。続く大城卓三捕手が歩いた1死一塁で打席に入ったのがアレックス・ゲレーロ外野手だった。しかしこの場面でゲレーロは千賀の真っ直ぐに完全に力負け。どん詰まりの左飛に倒れて、巨人は一気呵成に畳み掛けることができなかった。
あの一撃から悪夢の8連敗が始まった
そしてその裏のソフトバンクの攻撃。1死二塁からジュリスベル・グラシアル内野手が、巨人先発・山口俊投手のインコースの真っ直ぐに詰まりながらも、左中間のホームランテラスまで運ぶ逆転2ランを放った。
17年には本塁打王も獲得したゲレーロだって、パワーがなかった訳ではない。ただ、あの試合で力任せにスイングしたゲレーロは詰まって左翼のフェンスを越えることはできなかったが、グラシアルは同じ詰まってもボールをフェンスの向こうまで運んだ。詰まっても力で押し込んで持っていける技術と本物のパワーが、グラシアルにはあったということだった。
まさにあの一撃から、悪夢の8連敗が始まったと言える場面だ。そこに原監督が語る外国人の差があったのである。
2月のキャンプのインタビューで原監督は、そういう“本物”が加わることでの相乗効果をこう解説していた。
「今年獲った2人は、すごいパワーがあるからね」
「やっぱりスイングですね。当てるのではなく、バーンと弾き返すスイングを目で見ることで、目から頭に入ることが、チームメイトでもね、それがスイングの刺激になる。そのイメージは実際に目で見ないと、なかなか持つことができない。
外国人の選手の一番の特長はメジャーのあのパワーとスピードに慣れていることなんです。そこに彼らを獲る利がある。でもその部分がうちのチームにはなかった。例えば昨年のジェラルド・パーラ外野手にしてもパワーヒッターではなかった。そういう意味では今年獲った2人は、すごいパワーがあるからね」