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25歳プロ8年目で掴んだ開幕投手、ロッテ二木康太に問う「エースとは何か?」…マスターズ松山英樹を見てよみがえった10歳の記憶とは?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph bySankei Shimbun
posted2021/05/01 11:01
1日楽天戦での先発復帰が決まったロッテ二木。エースとして自覚をもってシーズンに臨む
冬の自主トレ期間は様々な先輩に同行しながら、各々の取り組み方、考え方を学んできた。
「皆さん、色んな練習方法を持っていて、それぞれで違うようなこともしているんですけど、そうやって色んな人の意見を聞かせてもらうのは自分の中で凄くプラスでした。見方によればコロコロと変えているようにも見えますけど、それが良いか悪いかは別として、沢山の人の意見や考えが聞けて、一緒に練習もさせていただいた。そこで自分のプラスになるものがあればと思ってやってきました」
2016年のオフは二木の故郷の鹿児島県で、昨年現役を引退した大谷智久らと自主トレ期間を過ごした。さらに19年のオフからは涌井秀章(現東北楽天)や、選手会長の益田直也らと共に汗を流した。自分に足りないものは何か。それを求めて常にアンテナを張ってきた。
「益田さんの自主トレをメインで付いて行って、最後の方に涌井さんがいる館山に行く感じでした。内容はどちらも走り込みがメインで、体幹もしますし、基礎トレーニングを多く積みます。以前は走ることがあまり野球に関係がないかなと思う時期があったんですけど、効率が良い動かし方はあると思いますし、ここ最近は大事なことなのかなと思い始めて、その分、身も入っています」
益田から教わったこと
そんな中、ともに自主トレをする益田からはこんな助言をもらった。
「そのランニングがきついときに、どれだけ頑張れるかが大事だよ」
二木は年々、その言葉の意味を理解しつつあるという。
「きついときに手を抜いても周りから見たらあまり分からないと思うんです。だけど、そのときに自分をどれだけ追い込めるのか、きついときこそみんなで声を掛け合って頑張る。そういうことが凄く大事なのかなと思うようになりました。益田さんは『昭和の根性論かもしれないけど……』って言うんですけどね」
自身を極限まで追い込んでこそ得るものがある。
「自主トレが全てかは分からないですけど、やってきたことは間違っていなかったとは思います」