2020年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
インディアンスが振り返る“敗者復活戦のハプニング”「ぺこぱは宣伝カーにかき消され、ニッポンの社長は夕焼小焼がカブった」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/04/29 11:02
インディアンスの田渕章裕(左、ボケ担当、35歳)ときむ(右、ツッコミ担当、33歳)
田渕 芸人がすごく陥りやすいパターンなんですけど、何年もやってきてるネタって、もうみんなにバレてるって思い込んじゃうんですよ。でも、実際は、一部のお笑い好きにしかバレてない。全国規模で考えたら誰も知らないようなものなんです。それやったら、自分らが好きで、やり慣れてるネタをやるのもありなんじゃないか、と。今回の敗者復活で、その答えが出ましたね。お客さんにも、芸人にも「あいつら、楽しそうにやってるな」って言われたんで。それが最大の勝因だと思います。このネタは前々から2人で、いつかM-1の大舞台で披露したいなとは言っていたんです。結果、めっちゃいい形になったときに、ちょうど出せましたね。
――敗者復活でも田渕さんのアドリブ、出たんですか。
きむ 祇園の木崎(太郎)さんのツカミをやるやつ、僕、知らなかったので。
――冒頭の「お待たせしました、木崎です!」っていう、木崎さんの決めゼリフですね。木崎さんは新型コロナに感染して、敗者復活戦に出られなくなってしまったんですよね。
田渕 袖から出るタイミングで、咄嗟に、言おうと思ったんですよね。本来、おるべき人やから。おったら、言ったに違いないセリフを1つだけ言わせてもらおう、と。
きむ 言うって知らなかったから、ツッコミもぜんぜん間に合ってない。
ネタ中に腕時計って見られるものですか?
――いや、「優しいな」とツッコミつつ、カメラに向かって「木崎さーん!」って手まで振って大喝采を浴びていましたよ。
田渕 あそこは、あんなええ風にとらえてくれるとは思っていなかったんですけどね。
きむ たぶっちゃんのアドリブがぼんぼん出てきて、時間的に最後までやるのは無理そうだったら、途中でこんなオチを言って終わらせようみたいなのは決めていたんです。そのあたりは、僕ら、けっこうラフなんです。なので、僕は大抵、腕時計で時間をみながらやってます。
――ネタ中に腕時計って見られるものですか?
田渕 相方はガッツリ見ます。
きむ 僕は立ち位置が左なので、だいたい右手で突っ込むんです。でも、それだと(左にはめている)腕時計を見られないので、時間を確認するときは、強引に外から左手を持ってきてツッコミます。そのときにチラッと。
田渕 それを「ガッツリ」言うんや!
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(写真=杉山秀樹)