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ウマ娘のキャラクターは「天皇賞・春」にも忠実? なぜゴールドシップは不思議キャラなのか
text by
河村鳴紘Meikou Kawamura
photograph by© Cygames, Inc.
posted2021/05/02 06:01
緻密な設定で「古参競馬ファン」も楽しめるウマ娘
ウマ娘で、ライスシャワーがやや内向的な性格になっており、悲劇的な演出をされているのは、実際のエピソードを織り込んでいるからでしょう。ですが内気な彼女が本気になったときの演出は、胸にくるものがあります。同時に、ライスシャワーの話は、天皇賞・春の復活まで。宝塚記念での悲劇は、現段階ではゲームで描かれていません。正直「描かなくても良い」と思うファンも多いのかもしれません。
その2)天才肌・マヤノトップガンと天皇賞・春
二つ目は、マヤノトップガンです。二度の天皇賞・春に挑んでおり、最初はナリタブライアンとの対決となります。ナリタブライアンは、前年の天皇賞・春の直前に脚を痛めてから、三冠馬になったときのような豪快なスピードが戻らず苦戦していました。ところが翌年の天皇賞・春の前哨戦・阪神大賞典(芝3000メートル)で、ブライアンとトップガンは、一騎打ちのレースを展開して注目を集めることになります。
ところが本番の結果は、3番人気のサクラローレルが完勝。同年末の有馬記念でもトップガンはサクラローレルの前に敗れたため、「勝負付けは終わった」という見方もありました。しかし、翌年の天皇賞・春でトップガンは、従来の「逃げ・先行」とは違う「追込」の作戦で“本命”ローレルを破り、当時の世界レコードで優勝します。
ゲーム「ウマ娘」にサクラローレルは登場していませんが、すれば確実にネタになるでしょう。またサクラローレルもたびたび大きなケガに悩まされてその都度復活していることから、こちらもネタになりそうです。
ウマ娘のトップガンは、「逃げ」「先行」「差し」「追込」のいずれの作戦もこなせ、天才肌のキャラとして描かれています。ですがゲームでどの作戦でも勝てるようにするのは、スキルの振り方が難しく、上級者向けになります。とはいえ史実と同じ勝ち方をゲーム中で再現するのも、楽しみ方の一つといえますね。
その3)なぜゴールドシップは“不思議キャラ”なのか?
最後は、ウマ娘でも“不思議キャラ”に設定されているゴールドシップです。3歳時は安定した成績でしたが、4歳からは別人(馬?)のように大敗するようになりました。5歳のときに出走した天皇賞・春では、ゲートで立ち上がりスタートに失敗して、レースは7着に敗れます。