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巨人投手陣に“桑田革命”が進行中!? …QS率が急上昇(46.7%→79.2%)、原監督は「意識を植え付けた」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/04/23 12:25
マウンドで高梨雄平(背番号53)に言葉をかける桑田コーチ
先発陣のクオリティースタート率が上昇
実際に巨人は3月26日の開幕から4月22日の阪神3連戦の終了時点まで24試合を消化しているが、完投は2試合だけ。4月11日の広島戦で今村信貴投手が完封勝利を飾ったのと、同16日の中日戦での菅野智之投手だけだった。14日の中日戦では畠世周投手が8回まで無失点の完投ペースの投球を見せながら、9回先頭打者に本塁打を浴び、1死一、二塁のピンチを招いて救援を仰ぐ場面もあった。
ただその一方で確実な変化を表す数字もある。それは先発陣のクオリティースタート(QS)率の上昇である。
今年の巨人の先発投手陣は24試合中19試合でQSを達成し、QS率は実に79.16%。この数字は両リーグを見回してもトップとなるものだ。ちなみに2位は好調阪神の72.7%で3位のオリックスが70.8%。そこから4位以下のチームは50%台以下へと急降下していく。ここ2年の巨人のシーズンQS率と比較しても2019年が48.3%で20年が46.7%でしかない。投手陣の整備が整った開幕直後とはいえ、今年の先発陣のQS率は大幅に上昇しているのである。
開幕から突っ走った阪神の独走を許さなかった
しかもこの19回のQSの中で7イニングを2自責点以内に抑えるというハイクオリティースタートが13回と、質的にもかなりレベルアップが数字に表れている。結果として24試合で13勝する中で、先発投手に勝ち星がつかなかったのはサヨナラ勝ちした開幕戦の1試合だけ(この試合の勝利投手は中川皓太投手)。残りの12勝はすべて先発陣に白星がつくという結果になっている訳だ。
開幕直後には12試合連続3得点以下という極度の打線の不振に喘いだ時期もあった。4月4日にはチーム内クラスターで丸佳浩外野手ら4選手が戦線離脱した。ただ、幸いにも投手陣に感染者も濃厚接触者も出なかった。
そうして点が取れない間も先発陣が踏ん張り、最小失点でゲームを作り続けてきたことで、チームは首位戦線に踏みとどまり、開幕から突っ走った阪神の独走を許さなかったのである。