「何かやってくれそう」今年のT-岡田は勝負強い？ 元ホームラン王を変えた“禅思考”とは

　オリックスファンにとっては、まさに至福の夜だったに違いない。

　4月22日、京セラドーム大阪で行われた西武戦。オリックスは今季初の3連勝がかかっていた。しかし課題のリリーフ陣が8回に3点を奪われ、3－6で9回裏を迎えた。

　先頭の宗佑磨のヒットを皮切りにチャンスを広げると、2アウト満塁の場面で、6番・T-岡田が、西武の増田達至からライトフェンスを直撃する走者一掃の3塁打を放ち、6－6の同点とした。そして次打者・杉本裕太郎がしぶとく三遊間を破り、今季初の劇的なサヨナラ勝利を飾った。

　9回2アウト満塁でT-岡田が打席に立った時、3点差があるにもかかわらず、ベンチの選手たちは期待に目を輝かせ、身を乗り出して見守っていた。

　今年のT-岡田は勝負強い。この打席を迎えた時点で、打率は1割台だったが、得点圏打率はなんと5割5分6厘。代打でタイムリーを放った試合もあり、何かやってくれそうな雰囲気が漂っていた。

きっかけは“禅”

　以前は、チャンスに強いとは言えなかった。しかし昨年から少しずつ変わり始めていた。

　きっかけは“禅思考”だ。T-岡田は昨年から、僧侶の枡野俊明氏による禅思考の本を読み始めた。すると考え方が変わったという。

「どうしても、『打ちたい』という気持ちが前に出てしまうんですけど、その欲を抑えるというか。しっかりやることをやれば、自ずと結果はついてくる、というふうに考えるようになりました。欲張ると絶対にいいことはないので。気持ちを入れるのは入れるんですけど、気合いを入れすぎると、自分の場合はあまりいい方向に行かないので、客観的に見ている自分がいる、という感覚を大事にしています」

　その思考が、22日の試合でも役立った。

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