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【ラグビーW杯】2019年は「32人中9人」、2023年は… ジェイミージャパン「52人」からのサバイバル、何が運命を分ける?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byGetty Images
posted2021/04/21 17:01
19年W杯に続き、ジェイミー・ジョセフHC(右)のもと強化を進めていく日本代表。トニー・ブラウンらコーチ陣も続投となった
今回の候補52人で注目したい選手の一人は、スタンドオフで選出された代表4キャップの前田土芽(どが/NTTコミュニケーションズ)だ。
筑波大卒の24歳は長年センターとしてキャリアを築いてきたが、今季より約20年間の競技歴で初となるスタンドオフに挑戦。第3節クボタ戦でトップリーグにデビューしたばかりだが、前田にはセンターもできるユーティリティ性、左右でキックを蹴るなどテクニックがある。「ジェイミー・ジャパン」のラグビーにフィットする可能性を見込まれての選出だ。
代表キャップを目指すフィフィタ
代表キャップを持たない21人では、楽しみな新戦力候補が多い。
巨躯ながら愚直なプレーができる豪州出身のベン・ガンター(パナソニック)、突進力が光る流経大卒のナエアタ ルイ(神戸製鋼)、スキルフルなパサーである齋藤直人(サントリー)、万能センターにしてハードワーカーのシェーン・ゲイツ(NTTコミュニケーションズ)。
そして唯一下部のトップチャレンジリーグからウイングで選抜されたシオサイア・フィフィタ(近鉄)は、天理大のセンターとして20年度の大学選手権決勝に先発し、華麗なオフロードパスなどで再三トライを演出。初の日本一に貢献したユーティリティ性とテクニックの持ち主だ。20年に参加したサンウルブズを通して周囲を活かすプレーに磨きをかけたというが、それを新・国立競技場での決勝戦という舞台で存分に発揮する強心臓ぶりを見せた。
「(フィフィタは)大学選手権でも活躍しましたし、サンウルブズでも出場している。身体も大きく走力もある。あとは強いストレスの中でも出来るかどうかです」(藤井ディレクター)
その強いストレスを新戦力候補にかける機会、つまりテストマッチを、フランス大会までに数多く組みたいところだ。
19年W杯へ向けては大会前までにティア1の10カ国のすべてと対戦したが、今回は新型コロナウイルスの世界的流行によりマッチメイクは難航中。6月の渡英時に現地で試合を組む案など、調整を続けているという。
それでもラグビーW杯はやってくる。今回発表された52人は、全員に23年W杯への意志を確認済みという。日本の国旗を掲げ、船は2年5カ月後にフランスに到着する。もちろんそれまでに乗組員の交代はあるだろう。