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“井上尚弥vsカシメロ”は来春までに実現か…カシメロ陣営のプロモーターに聞く「井上はディフェンス面で劣っている」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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posted2021/04/20 17:03

“井上尚弥vsカシメロ”は来春までに実現か…カシメロ陣営のプロモーターに聞く「井上はディフェンス面で劣っている」<Number Web> photograph by Getty Images

WBA、IBF王者・井上尚弥(大橋)は6月、ラスベガスでIBF指名挑戦者マイケル・ダスマリナス(フィリピン)との防衛戦が内定した

 現在のダスマリナスはフィリピンで調整しており、井上戦の1カ月前にはベガス入りさせたいというのが私たちのプランです。少なくとも6月1日までには絶対に現地に入り、そこでカシメロと一緒にワークアウトを続けることになります。

「マロニー戦での井上は出来が良かったとは思わない」

 井上との対戦で、ダスマリナスが“モンスター”の弱点をあぶり出すことを願っています。ダスマリナスはジャブがよく、アウトボクシングができて、パワーもあるボクサー。過去に訪日経験があり、日本人選手とも数多くのスパーリングをしてきました。攻守両面でまとまった選手で、自信に満ちています。少なくとも昨年10月に井上に挑んだジェイソン・マロニー(オーストラリア)と同じくらいの実力はあるはずです。

 個人的な意見ですが、マロニー戦での井上は出来が良かったとは思いません。2019年11月のドネア戦で苦戦した影響が残っていたのかもしれません。井上があの時と同じ状態であれば、ダスマリナスは一定の成功を収めることはできるでしょう。

 ただ、もちろん井上は素晴らしい選手であり、一発で試合の流れを変えるだけのパンチを持っています。ダスマリナスにはゲームプラン通りに戦ってもらいたいですが、かつてマイク・タイソンが「誰だってプランを持っている。口元をぶん殴られるまではね」と話していた通り、それをやり切るのは容易ではありません。とにかくしっかり準備し、井上相手にベストを尽くしてほしいものです。

 井上がダスマリナスに勝ったら、カシメロとの統一戦への期待感が再び高まることでしょう。8月にリゴンドーとの試合が決まったカシメロも、井上対ダスマリナス戦の会場に連れて行くつもりでいます。

 昨春、一度は決定した井上対カシメロ戦が延期になった後、トップランクの対応には私たちへのリスペクトが感じられませんでした。3階級制覇王者のカシメロに対し、相応の敬意が払われているとは思えなかったのです。ただ、私たちとトップランクの友好的な関係が変わったわけではないですし、井上対カシメロはいずれ実現するという予感が私の中にはあります。今のカシメロはアル・ヘイモンが率いるプレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC・MPプロモーションズと提携している興行会社)ですが、条件さえ良ければ、ヘイモンは井上戦の挙行を拒みはしないはずです。

 今後、カシメロはまずリゴンドーに勝ち、その後にWBOの指名挑戦者との指名戦をこなすことになるでしょう。一方、井上はダスマリナス戦をクリアできたなら、ウバーリ対ドネアの勝者と3団体統一戦を行う流れになるのではないでしょうか。ウバーリはトップランクと提携関係にあるMTKグローバルの契約選手だけに、井上とのマッチメイクは極めて容易です。こうしてカシメロ 、井上が互いに年内に2戦ずつを行い、最終的に4団体統一戦を挙行するのが最善の流れに思えます。

【次ページ】 カシメロと井上「どっちが勝つか?」

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