これまでのアンカハスは対戦相手の質に関していろいろ言われてきました。3、4年前、当時はスーパーフライ級王者だった井上尚弥からオファーが来ましたが、まだ時期尚早と考えた私が断りました。それ以降、周辺階級の著名選手からオファーを受け取ったことはほとんどないのです。アンカハスは今では十分に力をつけたので、これから先は試合を頻繁にこなしながら重要ファイトの機会を待つつもりです。

「井岡戦はビジネス的に旨味がない」

　WBO王者・井岡一翔（Ambition）に関しては、現時点でアンカハスとの統一戦の可能性は低いと言わざるを得ません。アンカハスはPBCに入ったのに対し、井岡はアメリカではFAの立場。ヘイモンとPBCは自身の傘下に入っていない選手を自らプロモートすることに積極的ではなく、井岡戦はビジネス的に旨味がないのです。

昨年末、田中恒成と対戦して勝利した井岡一翔　©AFLO

　井岡は好選手ですが、2018年9月のマックウィリアムズ・アローヨ（プエルトリコ）戦でプレミアケーブル局のHBOデビューを飾った直後、HBOがボクシングビジネスから撤退してしまったのは不運でしたね。まずはトップランク、PBC、マッチルームといった王手プロモーターと契約して商品価値を上げることが先決でしょう。現時点では難しいと言いましたが、いずれ状況が変わることはもちろん考えられます。スーパーフライ級のトップ戦線に井岡が加わればさらに盛り上がるので、そうなっていくことを私も願っています。