バンタム級史上初の4団体統一戦は世界的な注目を集めるに違いありません。カシメロはセルフプロモーションの能力に長けており、私よりも優れたプロモーターなんじゃないかと思えるくらい（笑）。井上戦が決まったら、どんな風に盛り上げてくれるかが今から楽しみです。

カシメロと井上「どっちが勝つか？」

　井上が優位と目されるでしょうが、私はカシメロの強さを信じており、彼の勝利に自宅をまるごと賭けても構いません。カシメロは攻撃力、パワーに加え、ディフェンス力も備えています。井上もオフェンスは素晴らしいですが、ディフェンス面でカシメロに劣っているというのが私の意見です。ボクシングに限らず、どんな競技でも、大きな試合を制するのは守備力。それゆえにカシメロはどんな苦境も乗り越えることができ、井上との試合でも勝ち残れると確信しています。

　現在のバンタム級には良い選手が揃っていますが、井上に真の試練を課すことができるのはウバーリとカシメロだけでしょう。パンデミックも徐々に終息に向かい、2021年はバンタム級が盛り上がる年になる。今年の年末か、来春までにはファン待望の井上対カシメロ戦を実現させたいですね。

井上尚弥との対戦が期待されているカシメロ　©Getty Images

井上尚弥からのオファーを断ったアンカハスは……

　最後にバンタム級戦線から離れ、IBF世界スーパーフライ級王座を保持するアンカハスの話もしておきたいと思います。4月10日のアンカハス対ジョナサン・ロドリゲス（メキシコ）戦は激しい戦いになり、判定勝利で9度目の防衛を成し遂げたアンカハスの知名度は上がったんではないでしょうか。

　相手が無名のロドリゲスに決まった時には批判もされましたが、アグレッシブなメキシカンはアンカハスとは噛み合うという手応えがありました。16カ月ぶりのリングで勝負勘を取り戻すために、タフな相手とのハードファイトが必要だったのです。興行を主催したヘイモン、生中継したプレミアケーブル局のShowtimeも喜んでくれて、アンカハスにとっては収穫の多い一戦となりました。

　今後、アンカハスは9月に次の防衛戦をこなし、同時にファン・フランシスコ・エストラーダ（メキシコ）、ローマン・ゴンサレス（ニカラグア）、シーサケット・ソーランビサイ（タイ）、カルロス・クアドラス（メキシコ）という同階級の4人の人気ボクサーの動向に注目していくことになります。エストラーダとゴンサレスは第3戦を行う可能性が高く、アンカハスはソーランビサイとの対戦を望んでいますが、どうなるか。

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