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五輪代表入りを果たした競泳・五十嵐千尋が25歳で“転身”を遂げた理由 「自分の中で、ちょっと無理なんじゃないかと」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2021/04/17 17:00
日本選手権女子100m自由形は池江璃花子(左)が優勝し、五十嵐千尋は3位に入った
26歳で迎える東京五輪では女子の最年長に
日本体育大学3年生で出たリオ五輪では中堅どころの年齢だったが、開幕を26歳で迎える東京五輪では、女子リレーメンバーの最年長になる。「チーム内での立ち位置が変わる」ことを五十嵐自身、はっきりと自覚している。
リオ五輪前の代表合宿では、社会人の山口美咲や松本弥生の声掛けによってリレーメンバーだけのミーティングを開くなどして、チームワークが生まれたという。
「リオの時は決勝に残るためにどうすべきか、1人1人が何秒で泳げば決勝に残れるか、メダルに手が届くかということを話し合っていた。東京五輪に向けてもリオの時を思い出して、まずはチーム内の士気を高めることをするために、率先してミーティングを開いていきたい」
個人としてはスプリントのさらなる強化を課題に掲げる。
「このところ50mと100mのタイムが上がってきているので、200mに関しては(前半の100mを)56秒台前半で入れるように、スプリント強化していきたい。100mに関してはウエートトレーニングを重点的にやって筋力をつけて、53秒台に持っていけるようにしたい」
「五輪という舞台は最後になると思うので」
東京五輪では池江璃花子、大本里佳、酒井夏海とともにチームを組み、開会式翌日に予選を行なう400mフリーリレーで決勝進出の期待が大きい。リオ五輪では派遣標準に届いていない選手もいたが、今回は五十嵐を含めて4人全員が派遣標準を突破している。
五十嵐は、「4人が53秒台で泳げるようにするのが一番。戻ってきた池江選手はこれから(タイムが)伸びていくと思うし、リオ五輪の時より速いタイムのメンバーなので、高い順位に持っていけたらいいと思います」と力強い。
復活の途上にある池江は五輪本番までにさらにタイムを縮めていく可能性が大きく、19歳と若い酒井、地力のある大本もタイム短縮が望める。そして、スプリント種目に本格的に取り組んでから間もない五十嵐も伸びしろは十分にある。
「個人としては、五輪という舞台は最後になると思うので悔いのないレースをしたいです」
フリーリレーのカギを握る五十嵐は、きりっと前を向いた。