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桜花賞優勝のソダシに吉田隼人「もう少し距離が延びても…」 オークスの2400mをこなして“無敗の2冠牝馬”なるか
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byPhotostud
posted2021/04/12 17:04
桜花賞を制したソダシと吉田隼人。昨年のデアリングタクトに続き無敗でオークスへ向かう
嬉しい誤算もあり新馬戦から三連勝
ところが実戦へ行くと嬉しい誤算があった。新馬戦でのソダシはゲートが開くとポンと好スタートを切ったのだ。
「前扉が開く音を嫌って逃げるように出た感じでした。逃げる馬がいたからハナには行きませんでしたけど……」
4コーナーを回るまで控え、直線に向いてから追い出すと抜け出し、最後は2着馬に2馬身半差で勝利した。
その後、2戦目は札幌2歳S(GIII)となったが、吉田隼騎手始め陣営は「使った事でテンションが上がるのに気をつけて」調整をした。それでも初戦よりはテンションが上がり気味だったそうだが、結果的にはここもレコードで勝利する。能力の高さを感じさせる結果はまだ続いた。3戦目のアルテミスS(GIII)も勝って3連勝。とくにこの時の競馬に関しては、鞍上も満足出来たようだ。
「なんとか落ち着かせて、スタートを決めると、考えていた通りの競馬が出来ました」
スタートから支配して勝つ事が出来たと続けた。
阪神JFは「危ない雰囲気」を漂わせた
迎えた2歳女王決定戦は、しかし、決して楽な過程で迎えたわけではなかった。中間のテンションが上がり、当日のレース前も何度か「危ない雰囲気」を漂わせたと言う。
「パドックではメンコを二重にするなどして厩舎一丸となってなんとかリラックス出来るように工夫しました。馬場入り後も本当なら我慢して歩かせたいところだけど、GIで人気に推されていた事もあり、機嫌をそこねないようにすぐにキャンターにおろしました」
ゲートを見てブレーキをかけるようなシーンもあったそうだが、ゲート裏では落ち着きを取り戻した。しかし、ゲートへいざなわれる段階で他馬が入るのを嫌った事に反応し、少し難しい面を出した。
「枠入りに手間取った上、入った後も突進しようとしたり、後ろ脚を開いてしまったりしたので、正直、出遅れも覚悟しました」
ところが実際にはゲートが開くと好ダッシュ。ペースが遅かった分、掛かりそうになるシーンこそあったものの、なんとか我慢した。すると、最後は早目に先頭に立ち、追い上げてきたサトノレイナスをハナ差くだして優勝。ソダシにとって初めてのGIのタイトルとJRA賞最優秀2歳牝馬の称号をまとめて手に入れてみせた。