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松山英樹、“10度目”のマスターズは「ピースがぜんぶハマれば」…17年夏から遠ざかるPGAツアー優勝、追い求める“理想のカタチ”とは
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2021/04/08 06:00
オーガスタに乗り込む前、多くのボールを打ち込んだという松山英樹。2011年のローアマ獲得から10年、20代最後のマスターズへ挑む
マスターズ直前、そのバレロテキサスオープンで松山は結局30位に終わった。
実戦機会を増やすべく、3月に入ってから出場を決めた試合だった。なにか確信めいたものを得るには至っていない。収穫を問われ、「球をいっぱい打てたこと、ボールをいっぱい失くしたことじゃないですか」と周囲を笑わせた。
その中でも、5アンダーで回った初日のプレーには頷けた。2021年は予選通過圏外で第1ラウンドを終えた日が4試合あり、スタートに鈍さがあった。「1日だけでも、できたのはすごく大きい。自分のやっていることで良い結果が出たのは今年に入ってなかった」と明るい材料にした。
スイング改良に注力する反面、変化もある。昨年途中まであれだけ頻繁にテストしていた1Wは使うモデルを替えず、調整はヘッドのごく繊細なマイナーチェンジにとどめている。また、パッティングにも一定の向上を感じてきてもいる。
「復活」したジョーダン・スピース
テキサスオープンはジョーダン・スピースが優勝した。松山が最後に勝ったのと同じ2017年の夏以来、4シーズンぶりだったゆえ復活と言っていい。元世界ランキング1位、メジャー3勝の27歳は今年初めにランク92位まで降下。現在25位の松山よりもずっと低迷していた。
スピースはその間、左手の怪我もあってスイングを崩し時間をかけて修復したという。そしてカムバックする過程で「以前は必ずしも重要でないと思っていたことと戦った」といま振り返る。
「今は自分が考えるスイングに近いものができている。(故障する前に)違うことをやるべきだったとも思う。僕は27歳でまだ道のりは長い。良い経験もしてきたけれど、後悔だってある。それが当たり前。誰のキャリアにとっても普通のことだと思う」(スピース)
そして試行錯誤が続く松山も言った。