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【大阪杯】「二強」崩した6戦6勝の良血馬・レイパパレのスケールはどれくらい? コントレイル“3着”の敗因とは
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2021/04/05 11:20
無傷の牝馬、レイパパレ(左)が1番人気のコントレイル(黄帽)、2番人気のグランアレグリア(桃帽)を下して大阪杯を制した
追うグランアレグリアとコントレイルとの差は
そして川田は、1000mから1200mまでの1ハロンのラップを12秒8に落とした。ここで脚を溜めたのだ。
それに焦れたように、3コーナーでコントレイルが動いた。スルスルとポジションを上げ、4コーナーでグランアレグリアの外に並びかけた。するとグランアレグリアも加速し、2頭が併せ馬の形で進出。前を走るサリオスと、その前で快調に先頭を行くレイパパレをかわしにかかる。
しかし、レイパパレは簡単には差を詰めさせない。
レイパパレは余裕たっぷりの手応えで4コーナーを回り、直線入口で馬場のいい外目に持ち出された。川田はこう言う。
「できることなら馬場の真ん中に出したいと思っていました。4コーナーで後ろとの距離を確認し、迷惑をかけることなく出すことができました」
川田が右ステッキでゴーサインを出すと、レイパパレはさらに末脚を伸ばす。
ラスト200m地点で、2馬身ほどだったリードが、1完歩ごとにひろがっていく。
最内のサリオス、真後ろのグランアレグリアとコントレイル、外のモズベッロらが追いすがるが、差は縮まるどころか、さらに大きくなっていく。
レイパパレが2着のモズベッロに4馬身の差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。
「今後この馬が背負うものは極端に大きくなりました」
GI初参戦で初制覇。6戦6勝での古馬GI制覇は、1984年のグレード制導入以降、ファインモーション、クリソベリルと並ぶ最少タイ記録である。
422kgと小柄ながら、重馬場をまったく苦にしなかった。他馬が追走に苦労するほどの速い流れを楽に引っ張り、上がり3ハロンを最速タイでまとめてしまった。こんな競馬をされては、後ろの馬たちはなすすべがない。
前週の高松宮記念(ダノンスマッシュ)につづきGIを連勝した川田はこう話した。
「本当にすごいことをしました。素晴らしい馬です。このメンバーで勝ち切ったことにより、今後この馬が背負うものは極端に大きくなりましたから、それに見合う走りができるようにしていきたいと思います」
デビューからずっとコンビを組んできた川田のエスコートも見事だったが、それに完璧に応えたレイパパレが素晴らしかった。完成されるのは明らかにまだまだ先で、今も強くなっている最中だ。とてつもないスケールのニューヒロインが誕生した。