競馬PRESSBACK NUMBER
ダノンスマッシュ&レッドルゼル、2頭の善戦に安田隆行師が涙 「ムーアが褒めてくれた。誇りにしたい」
posted2021/04/02 17:01
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
3月28日に行われた高松宮記念(GI、中京競馬場、芝1200メートル)を制したのはダノンスマッシュ(牡6歳、栗東・安田隆行厩舎)だった。重賞は実に8勝目。昨年暮れの香港スプリント(GI)に続きGI連勝となったわけだが、国内で頂点を極めたのはこれが初めて。これまで跳ね返されてきた厚い壁をついに突き破ってみせた。
「日本のGIはチャンスがあると思っても勝てずにいたので、とても嬉しかったです」
そう語るのは安田隆行調教師だ。今回は同師にダノンスマッシュのこれまでを振り返っていただいた。
2017年9月にデビューして以来、3年半の時間をかけての大願成就。喜びもひとしおだろう。
ロードカナロアの仔であることを考えて
「最初の頃から皆が『乗り味は良い』と絶賛する馬でした。新馬から人気に推されて(単勝1.7倍)すぐに勝てると思いました。まだひ弱さがあったので初戦は負けてしまったけれど、その後連勝。やはり走る馬だと思ったものです」
ただし、それでもまだ背腰に弱さが残っていたと言う。1600メートルでも長かったのか、朝日杯フューチュリティSやNHKマイルCなどを走ったが結果が出なかった。
「ロードカナロアの子供という事も考慮して、夏の函館で1200メートル戦を使ったら、強い競馬で勝ってくれました」
以来、スプリント戦を邁進すると、2018年11月には京阪杯(GIII)を優勝。重賞初制覇を飾ると、翌19年の春にはシルクロードS(GIII)で重賞連勝。続く高松宮記念(GI)では1番人気に推されるまでになった。とんとん拍子で出世を果たしたのだ。しかし、初めての高松宮記念はミスターメロディの4着に敗れた。
「お父さんと比べて馬格は小さいけど、奥手のタイプという意味では同じでした。この当時はまだ本格化する前で、最近になって仕種などもカナロアに似た感じになると共に強くなってきました」