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女帝トゥクタミシェワ24歳が世界フィギュアで銀…2度オリンピック代表を逃し、北京でリベンジなるか
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2021/04/01 11:02
ストックホルムでの世界選手権で銀メダルに輝いた女帝トゥクタミシェワ
ここ何年も、ティーンエイジャーのチャンピオンが次々と代がわりしていったロシアの女子の中で、トゥクタミシェワは例外的に息の長い競技生活を続けてきたからだ。
今回の女子メダリストの中で、シェルバコワは大会最終日に17歳になり、トゥルソワは16歳。24歳のトゥクタミシェワだけ、別な世代に属している。
元々彼女の最大のライバルは、2014年ソチオリンピックで金メダルを手にしたアデリナ・ソトニコワだった。ちょうど10年前の2010-11シーズン、二人は激しくトップを競い合いジュニアGPファイナルと世界ジュニア選手権の両方でソトニコワが1位、トゥクタミシェワが2位という結果になっている。
ソチに向けての強化選手の1人だった
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2006年トリノオリンピック後にイリーナ・スルツカヤが引退し、ロシアの女子が世界のトップランクから消えた時期があった。2010年バンクーバーオリンピックではロシア女子代表が9位と10位という屈辱的な結果に終わり、ロシアは2014年ソチオリンピックに向け、国家事業として若手の強化に取り組んだ。
その翌年から、世界ジュニアではロシアの女子が実力をあげてきて、ほとんどのメダルを独占するようになった。彼女たちがシニアに上がってきたら、女子の表彰台はどうなってしまうのだろうか。関係者たちがそう当惑している中で、いよいよシニアに乗り込んできた新世代ロシア女子の1人が、トゥクタミシェワだったのだ。
ソチオリンピック代表を逃す
2011年秋、まだ14歳だったトゥクタミシェワは大きな注目を浴びながら、シニアGPシリーズに初登場した。小柄な身体でスケートカナダで初優勝、フランス杯もあっさり制して、進出したGPファイナルでは4位だった。一方ライバルのソトニコワは、シニアGP2戦とも3位に終わり、トゥクタミシェワほどの注目は浴びなかった。
ところが2014年ソチオリンピックのシーズンには、トゥクタミシェワは調子を崩して代表選考からもれた。代わりにソトニコワと共に選ばれたのは、2歳年下の天才少女、ユリア・リプニツカヤだった。リプニツカヤが活躍してロシアが団体戦金メダル、そして個人戦でソトニコワが金メダルを手にしたのを、トゥクタミシェワはどのような思いで見ていたのだろう。