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女帝トゥクタミシェワ24歳が世界フィギュアで銀…2度オリンピック代表を逃し、北京でリベンジなるか
posted2021/04/01 11:02
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
3月28日に終了したストックホルム世界選手権。女子フリーでは全体的に最終グループのミスが目立ったが、難易度で他を圧して表彰台を独占したのはロシアだった。
アンナ・シェルバコワ1位、エリザベータ・トゥクタミシェワ2位、そしてアレクサンドラ・トゥルソワが3位に。女子で一カ国が表彰台を独占したのは、1991年の米国以来の快挙だった(ただしロシアのドーピング違反の制裁中により、選手たちは「ロシアフィギュアスケート連盟代表」として出場し、ロシアの国旗、国歌の使用は許可されなかった)。
中でも特に注目が集まったのは、24歳のエリザベータ・トゥクタミシェワである。
「こんなに泣いたのは人生で2度目」
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SPは3アクセル、3ルッツ+3トウループを含むプログラムをノーミスで滑り切り、シェルバコワ、紀平梨花に次いで3位という位置につけた。
フリーでは2度の3アクセルを着氷し、3フリップで転倒するも後半で2アクセル+1オイラー+3サルコウを降りるなど、残りをノーミスで滑り切った。キス&クライでスコアを目にすると、信じられないというように目頭に手を当てて、嬉し涙を流した。
「フリップで転んだ時に、もう全てが終わった、と思いました。でもスコアが出て、あの時点で自分が1位だとわかった瞬間に、あふれるように涙が出てきた。自然に出てきた本物の涙です。あんな泣き方をしたのは、これまでの人生で2度目です」
通訳を通してそう語ったトゥクタミシェワ。2015年上海世界選手権で優勝して以来、実に6年ぶりの出場。そして6年ぶりの表彰台だった。
「女帝」の称号を得た理由
いつの間にか、トゥクタミシェワはフィギュアスケート関係者の間で「Empress(女帝)リーザ(エリザベータの愛称)」と呼ばれるようになった。それは必ずしも、「皇帝」プルシェンコのように全盛期には他を寄せ付けない圧倒的な強さを示し、一世を風靡してきたからではない。