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【MLB開幕】契約最終年カーショーを9度目の開幕投手に指名、ドジャース・ロバーツ監督の連覇への“思惑”とは 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2021/04/01 11:01

【MLB開幕】契約最終年カーショーを9度目の開幕投手に指名、ドジャース・ロバーツ監督の連覇への“思惑”とは<Number Web> photograph by Getty Images

カーショーは昨季10試合に登板し、防御率2.16、6勝2敗

 ドジャースにとって、ワールドシリーズ連覇が最大の目標であることは言うまでもない。だが、1998年から3連覇したヤンキース以来、2年連続で世界一を達成したチームはいない。各球団が細かいデータ分析を徹底し、中長期的な再建策を進めてきたこともあり、近年のメジャーでは毎年のように世界一チームが替わる群雄割拠の時代が続いてきた。たとえ、短期的に高額資金を投じたとしても、すぐに結果に表れる保証はなく、黄金時代を築くことは極めて難しい。

 昨年、ムーキー・ベッツとデービッド・プライスをトレードで補強し、今季、バウアーを加えたドジャースの戦力が、メジャートップクラスであることに、疑問の余地はない。米メディアが査定する各球団のパワーランキングや、オッズメーカーの予想でも、ドジャースの連覇を支持する意見は数多い。

巨大戦力をまとめ上げるベテランの力

 だが、机上の計算だけで勝てるほど甘い世界ではない。

 カーショーに大役を託したのも、開幕戦の相手となるロッキーズ戦で、通算24勝8敗、防御率3・22と相性が良いという理由だけではないだろう。

 ヤンキースのデレク・ジーター、カージナルスのヤディエル・モリーナが世界一の立役者になったように、ポストシーズンを勝ち抜くチームには、必ずと言っていいほど、強烈なリーダーシップを持ったベテランがいた。

 ロバーツ監督は、カーショーのプライドを尊重し、今もなお絶対的なリーダーであり、チームの屋台骨であることを周囲に示す意味でも、開幕投手に指名したに違いない。

 そんな思いが、カーショーに伝わらないはずはない。
 
 表面的な戦力面だけでなく、チーム全体に影響を与えるプラスαにも目を向けられる戦略眼。

 すべてが数字やデータで計られる傾向の強い中、難関と言われるワールドシリーズ連覇、そして黄金時代の構築へ向け、選手の心意気に敏感なドジャースが、今季も優勝候補の最右翼に挙げられるのは、当然のことかもしれない。
 

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