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「あ、このタイミングか」豪・南ア・NZの技を“見て盗んだ”SH日和佐篤、33歳でも成長期? 神戸製鋼でトライ率UP
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倉世古洋平(スポーツニッポン新聞社)Yohei Kuraseko
photograph byYoshio Tsunoda/AFLO
posted2021/03/26 17:03
今季から神戸製鋼で主将を務めるSH日和佐篤(33歳)。生え抜き選手以外では初の抜擢だった
日和佐がサントリーを離れたのは、19年W杯日本代表SH流大の台頭によって、プレー機会が大幅に減ったことが要因だった。
新天地を模索しているときに、ニュージーランド代表アシスタントコーチとしてW杯2度の優勝に導いた世界の知将、ウェイン・スミス総監督にビデオ通話で口説かれた。まだまだうまくなれる――。
成長を願って、報徳学園高校を卒業するまで過ごした地元・兵庫へ戻った。トライの数が明らかに増えた。30歳の決断は、間違いではなかった。
生え抜き以外の主将は史上初
加入3季目の今季、フランカーのトム・フランクリン(ニュージーランド)とともに共同主将を務める。生え抜き以外の日本選手の主将は、V7の名門史上、初めてのことだ。
日和佐流のキャプテンシーとは何か、と尋ねたことがある。
「あいつに言われたらせなアカン。そう思われるように、姿勢を意識してやっている」
この答えに、神戸にやってきた頃の言葉を思い出した。チームの練習で気になる点がないか、と聞いた時のことだ。
「膝に手をつく選手が多いように感じる」
ランニングメニューの後、疲れてその場から動かない。これが攻守切り替えのスピードや、次のプレーへの遅れにつながるのではないか。そんな指摘だった。チーム内の意識を変えようと、日和佐はいつも顔を上げ、休んでいる暇はないよと、仲間の尻を叩き続けた。
18年度から20試合も無敗を続ける今、膝に手をつく選手はきっといない。いたとしても、自浄作用が働く。
「最初は僕だけが口うるさく言っていたけど、今はお互いが注意しあっている。次、次をがんばろうという感じで。僕は口出しをせずに見守っている感じですね、そこは」
スミス総監督によるニュージーランド式の展開ラグビーの導入だけでなく、練習中のこうした小さな変化が、神鋼復活のカギになっているようだ。