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桜庭和志プロデュース“QUINTET”には「甲子園の感動」が? 女子団体巴戦でのドラマに“桜庭の息子”の登場も
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byQUINTET
posted2021/03/22 11:00
2月12日の女子大会は強豪柔術アカデミーの選抜選手で構成されたTEAM CARPE DIEMが優勝した
桜庭の息子〈SAKU Jr.〉が登場
エキシビションマッチには、桜庭の息子が〈SAKU Jr.〉の名で登場した。といっても格闘家デビューではない。大学まで柔道に打ち込み、この春から社会人になるにあたっての記念試合。鈴木和宏との闘いを終えると、父が『卒業セレモニー』を取り仕切った。
柔道部の同期の面々もマットに集合させ、桜庭から「カッコいい大人になってください」とメッセージ。アマチュア大会でしのぎを削ってきた若者たちの門出を、スポットの当たる“プロの舞台”で祝ってあげようという親心だった。
「柔道部のみんな、ちゃんとスーツ着てきて立派でしたね、もう社会に出る自覚があるんだな」と桜庭。QUINTETの方向性や今後の流れには直接、関係のない場面ではあったが、素直に「いいものを見たな」と思えた。
印象深いシーンはインタビュースペースにもあった。試合後のコメントと記念撮影を終えると、CARPE DIEMの守脇美友が「写真もう一枚お願いします」と小さなぬいぐるみを出してきた。道場のキッズクラスの生徒がお守りにとくれたアライグマだそうだ。選手が控える席で試合を見守っていたアライグマとチームのメンバー全員で、笑顔の記念撮影。
そんな微笑ましい光景も、QUINTETにはよく似合う。桜庭はルールと競技システムを作り、同時に愛すべき世界観も築いたのだ。