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「お粗末、無能な議員どもだ!」 サッカーの聖地マラカナン改名騒動に功績者の孫が痛烈批判…怒りに震えるワケ
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/03/20 11:01
かつてのマラカナン全景。その独特なフォルムで愛された
フィーリョの名が消えそうだからこそ、訴えたいこと
僕は、マリオ・ネット氏と同様、リオ州知事が"良識"を発揮してリオ州議会の議案を却下し、スタジアムの正式名称からマリオ・フィーリョの名を消し去らないことを願っている。
しかしながら、マリオ・ネット氏が言うように、リオ州知事が議会の決議を追認し、マリオ・フィーリョの名がスタジアムの正式名称から消える可能性が高そうだ。
ただ、仮にそうなったとしても、彼が成し遂げたことが忽然と消えてなくなるわけではない。彼の主張がほぼそのまま実現し、世界のフットボールの歴史に残るスタジアムが誕生した。そして、このスタジアムで行なわれた1950年W杯の「マラカナンの悲劇」にもかかわらず、いやこの悲劇があったからこそ、今日のブラジルのフットボールがある。
71年後、凡庸な政治家が何をしたところで、マリオ・フィーリョの功績は不滅だ。フットボールを愛するブラジルの、そして世界中の人々の記憶から、彼の名を消し去ることは決してできない。
(『サッカーの聖地マラカナン改名騒動… 「王様ペレ」なのに大反対、背景にある“剛腕ジャーナリスト伝説”とは』編も関連記事からご覧になれます)
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