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PAOK香川真司はCL出場権への切り札… “プーチンと仲良しで怪しい会長”体制での不安要素とは
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph byGetty Images
posted2021/03/06 11:01
PAOKで充実した表情を浮かべる香川真司
ここ5シーズン、PAOKを離れる選手が常に40人前後
アカデミーからの昇格は増えたものの、クラブに残り続けられる選手は多くない。20代で引退する選手も散見される。
そもそも、毎年放出する選手の数では、オリンピアコスにも引けを取らないクラブだ。ローンで出していた選手の契約非更新、ローン元への返却などを含めて、ここ5シーズンは常に40人前後がPAOKを離れている。他国のビッグクラブに高値で売るなら話は別だが、そうではない現状が、まだ埋まらないオリンピアコスとの差を表している。
3位につけているものの首位と勝ち点差15
ここ数年と違い、順位表でも差が開く。現在3位につけてはいるが、首位オリンピアコスは勝ち点差15の遠きにいる。
指揮官だけのせいではなかろうが、昨秋にU-20監督から昇格したパブロ・ガルシアには不安がある。PAOKで長年プレーした人気者だが、プロチームを率いるのに必要なUEFAプロライセンスを有していない。ライセンスを持つスタッフが"名義貸し"していたのだが、そのコーチも「やってられん」と今年1月に辞任した。
前任のアベル・フェレイラ監督は、今年1月にパルメイラスでコパ・リベルタドーレスを制覇。他クラブでも能力を証明した指揮官は、"移籍金"60万ユーロで引き抜かれたと言われる。2019年にリーグ優勝をもたらしたラズヴァン・ルチェスク監督(高名なるミルチェア・ルチェスクの実子)も、200万ユーロを置き土産に中東へ去った。ただし、その裏にはサビディス会長との確執があったとされる。
昨夏にスポーツディレクターとして招かれたオラフ・レッベは、やる気に燃える42歳だが、ボルフスブルクとハダースフィールドでは満足な結果を残していない。その若きディレクターに迎えられた香川真司らとともに、PAOKはシーズン終盤へと突き進んでいく。