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「消火器で発煙筒を…」「お前、忍者か!?」坂田大輔が知るギリシャサッカーの“ヤバさ”【香川真司にエール】
posted2021/03/06 11:00
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
Getty Images
サロニキ、テッサロニカ、テッサロニキ……。日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、さまざまな呼び名を持つギリシャ北部のこの街に、世界でも名の通ったサムライが降り立った。日本代表やドルトムントで活躍した香川真司である。
今冬に香川が加入した、PAOKが本拠地とする街。このギリシャ第2の都市で日本人選手がプレーするのは、香川が初めてではない。実は、この街にある3つの主要クラブすべてが、日本人選手を迎え入れているのだ。
「第一人者」は、東京ヴェルディでプロキャリアをスタートさせ、2010年にイラクリスに加入した小林大悟(昨年までアメリカでプレー)だった。入れ替わるように2011年、PAOKの最大のライバルであるアリスに加入したのが坂田大輔さんだった。小林とともに2003年のワールドユース選手権でベスト8進出に貢献した坂田さんは2017年限りで引退し、現在は自身も選手時代に所属した事務所で代理人(仲介人)として研鑽を積む。
坂田さんの渡欧は、ちょうど10年前になる。時間の経過に加え、コロナ禍で環境は大きく変化しているが、神話の時代から続く国が簡単に変節することはないはずだ。
当時の坂田さんは横浜F・マリノスを離れ、新たなクラブを探していた。28歳になる年、舞い込んできたギリシャ行きという選択肢に挑戦することを決めた。
「日本人のお前は、こんなの知らないはずだから」
ギリシャに渡って2週間弱、いきなりの洗礼を浴びた。街を二分するダービー。PAOKをホームに迎える一戦だった。
「『経験しておいたほうがいい。日本人のお前は、こんなの知らないはずだから』みたいな感じで、ニコニコしながらメンバーに入れてくれたんですよね。試合の1週間くらい前から、街では『勝てよ』みたいな声かけをされていたし、クラブ全体で絶対に勝たなければ、という雰囲気もありました。試合当日、スタジアムに入る最後の瞬間まですごい応援でした。強烈でしたね」