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ダルビッシュ有「チームとして最高の1年に」 パドレスは同じ地区の“怪物”、王者ドジャースを倒せるか?
posted2021/03/04 17:05
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
「(去年と)今年のキャンプが違うのは、ただ期待があるというだけではなく、期待が大きいってことだろうね」
パドレスのウィル・マイヤーズ外野手は、2月27日のオンライン会見でそう言った。
パドレス7年目も「僕がここに来てから初めて……」
以前のコラム(MLB独特の大胆なトレード戦略。30球団中27位の低予算球団・パドレスの策とは?)でも書いたようにパドレスは、キャンプ中に14年総額3億4000万ドル(約360億円)という超大型契約を交わしたフェルナンド・タティース・Jr.遊撃手や、エース級に成長した若手のディーネルソン・ラメット投手ら「ファーム生え抜き」だけではなく、フリーエージェント(FA)や戦略的トレードを駆使して競争力を上げてきたチームだ。
パドレスで7年目になるマイヤーズのコメントは、チームが今オフもダルビッシュ有投手やブレイク・スネル投手らを怒涛の連続トレードで獲得したことで、彼らの目標が「プレーオフ進出」から「ワールドシリーズ出場」にシフトしたことを実感させるものだった。
「2019年の今頃とは違うんだよ。2020年に勝てるチームになり、僕がここに来てから初めて『勝てる文化』が生まれた。今年もロックンロールする準備はできているよ」
ここでいう“ロックンロールする”というのは、野球的、スポーツ的に超訳すれば『(好不調の波があっても)どんどんノッていく』という意味になるだろうか。
ただしそれよりも大事なのは「勝てる文化=Winning Culture」という部分だ。
パドレスも「ワールドシリーズ優勝」を狙えるはず
プロ・スポーツなのだから、どんなチームにとってもチャンピオンシップで勝つこと、MLBの場合なら「ワールドシリーズ優勝」が究極の目標であるはずだが、残念ながらMLBの全30球団がそれを現実的な目標として捉えているわけではない。例えばパイレーツのような再建中のチームにとっては「勝率5割」がまず目標になるわけで、その設定値はチームによってそれぞれ違う。
もちろん、パドレスはワールドシリーズ優勝を狙えるチームである。昨季、ナショナル・リーグ(NL)西地区2位ながら2006年以来、14年ぶりのプレーオフ進出という結果はチームに自信をもたらしたはず。それが実感できるのは、例えば次のようなシーンを目撃した時だ。