投手と内野手が絡む「投内連携プレー」の練習で、三塁を奪おうと飛び出した二塁走者をマニー・マチャド三塁手とタティース・Jr.遊撃手が挟み、巧みなフェイクを入れながら殺すと同時に、二塁を奪おうと飛び出した打者走者を刺すため、エリック・ホズマー一塁手へ送球する。

　そこで練習は完了するわけだが、マチャドが練習再開を遮り、本塁をカバーしていたビクター・カラティニ捕手にスペイン語で何か話している。マチャドのボディ・ランゲージから推察するに、どうやら挟殺プレーに直接、絡んでいなかったカラティニの動きへのアドバイスのようだった。「もしもオレが送球をファンブルして走者が本塁に向かったら、そのポジショニングでは三塁に近すぎて、送球するタイミングがない」とでも言うように。

カブス時代からダルビッシュ有の「パーソナル・キャッチャー」と言われてきたカラティニ捕手　©Getty Images

　マウンド上のコーチが、本塁の後ろに構える捕手に向かって意図的に悪球を投げている。ワンバウンド、立ち上がらなければ捕球できないような高い球、そしてど真ん中。それを見て三塁を狙うのか、帰塁するのかを二塁走者が見極める練習で、試合で起こり得る状況を想定して行われていた。『プロなのだから当たり前』と思うだろうが、こういう練習を頻繁に行うチームは珍しい。

　もちろん、だからといって無邪気にパドレスを「最有力の優勝候補」と主張するわけにはいかない。なぜなら、パドレスが所属するナショナル・リーグ（NL）西地区には、昨季のメジャーリーグ王者にして地区8連覇中のドジャースという「怪物」がいるからだ。

「ドジャース有利」と予想されているけれど……

　セイバーメトリクス（野球の統計分析）系の米人気ウェブ・サイト『FanGraphs』の予想システムによると、パドレスが戦うナショナル・リーグ（NL）西地区の「（地区）優勝確率」はドジャースが64.7％、パドレスが35.1％だ。続くジャイアンツが0.2％、ダイヤモンドバックスが0.1％、ロッキーズに至っては0％と、完全な2強対決でありながら「地区優勝争いはドジャース有利」と予想されている。

　では、打率や本塁打数、防御率や奪三振などの伝統的な数字の羅列をあえて避け、予想システムが主な情報源として採用しているセイバメートリクスの選手指標WAR（Wins Above Replacement）を参考にして、ドジャースとパドレスを比べてみる（日本時間3月4日現在）。

【次ページ】　ダルビッシュも「チームにとって最高の1年になったら」