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「打倒ホークス」に奮起が必要不可欠… 井口監督も期待するロッテ左腕・中村稔弥が達成したい2つの目標
posted2021/03/04 06:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Sankei Shimbun
幸先の良い一年のはじまりだ。
今季最初の対外試合となった2月13日の東北楽天戦。千葉ロッテマリーンズの先発を任されたのは、開幕ローテーション入りを目指すプロ3年目の左腕・中村稔弥だった。
「(自分の中では)先発をやりたい気持ちがあるので、最初に吉井(理人)投手コーチから告げられたときは気持ちも入りましたし、絶対に結果を残したいと思いました」
その力強い言葉どおり、この日はストレートを主体に変化球の割合を抑え、2回打者6人を完璧に封じ込めるピッチング。開幕ローテーション入りを目指す上で上々のスタートを切った。
「チームにとっても、自分にとっても今年最初の試合でしたし、しっかり良いスタートを切ることが出来たのかなと思います」
CSのマウンドに立てなかった中村
昨年は16試合に登板して2勝5敗、防御率4.78。今季の先発ローテーションを託すには、まだ物足りない数字ではある。それでも昨年の9月11日オリックス戦では7回まで無安打無失点を続けたように、一度、型にハマれば手が付けられないほどの快投を見せる。秘めたポテンシャルは十分に一軍でやっていけるものだ。
「昨年はチームがCSまで行ったんですけど、自分はその舞台に立てていない。チームが優勝争いをしている中で、自分はそこに加われなかった。今年はその分だけチームの日本一に貢献したい想いが強いです」
普段は穏やかな性格だが、内面では強い闘志を滾らせる。プロ3年目の今季はまさに正念場。自身のプロ野球生活を位置付ける大事な一年になるだろう。
現在の課題をひとつ挙げるとすれば、好不調の波が荒い点になるだろうか。
昨年は16試合の登板中、11試合で先発を任されたが、うち4試合は5回を持たずに降板するなど首脳陣の信頼を勝ち取るには至らなかった。
あわやノーヒットノーランの快投を演じた、その1週間後(9月18日)の北海道日本ハム戦でも、立ち上がりはストレートで相手を圧し、上々の滑り出しだったが、味方打線に3点目の援護をもらった直後のその裏に突如崩れて5失点。その後は持ち直すこともなく、さらに失点を重ね、4回途中で降板した。
「あの試合は変化球が(ストライクゾーンに)入らずに、真っ直ぐに頼って打たれました。狙い球を絞られたんだと思います。打者一巡目は真っ直ぐで圧せていたとしても、二巡目以降は変化球でも、しっかりカウントが稼げる配球をしていかないといけない。そこは今年の課題ですね」