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「打倒ホークス」に奮起が必要不可欠… 井口監督も期待するロッテ左腕・中村稔弥が達成したい2つの目標
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph bySankei Shimbun
posted2021/03/04 06:00
井口監督からの期待も大きいプロ3年目の左腕・中村稔弥。清峰高校、亜細亜大を経て18年ドラフトでロッテに5位指名された
オープン戦で見せた「成長の証」
3月2日に行われたオリックスとのオープン戦では、今季の中村を占う意味で見逃せないシーンがあった。
2回裏、アダム・ジョーンズの中前適時打と頓宮裕真に手痛い一発を浴びて早々に3点を奪われた中村だったが、3回裏は先頭の中川圭太を外のストレートと同じ軌道から落とすツーシームとのコンビネーションで空振り三振。吉田正尚には右前安打を許すも、続く太田椋を外のツーシームでショートゴロの併殺に打ち取り、この回を無失点。4回も前の打席で二塁打を打たれているモヤ、適時打を浴びたジョーンズ、さらにはT-岡田を3人で抑え無失点。失敗の後でズルズルと失点を重ねなかったのは今季の成長の証と言えるだろう。
成績を安定させるため、コンディショニングの面でも余念がない。
「自分は基本的に体が緩い状態といいますか、トレーニングを何もしていない状態では試合で投げられないんです。『ちょっと体が張っているな』と感じる状態の方が自分の中では良い感覚で投げられている気はします」
昨年は年間を通して、ウエイトトレーニングを継続。登板の2日前には必ず下半身を重点的に鍛え、負荷をかけてきた。さらに登板日の前日の食事も、チーム内の栄養士に相談して、何をどれくらい摂るのかを徹底。今季は体幹のインナーマッスルを鍛えるため、チーム全体のメニューとは別に、体幹強化に励む時間をプライベート時間に作っている。全て昨年の自分を上回るためだ。
昨季7勝の小島、育成の本前、ドラ1鈴木
とはいえ、中村が置かれている立場は「安泰」と言えるものではない。
今季の千葉ロッテは、中村以外にも若手左腕たちが軒並み好結果を残し、生き残りをかけた闘いは例年以上に熾烈を極めるものとなっている。
昨季7勝の小島和哉は、今季初実戦となった2月24日のソフトバンク戦で2回無安打無失点と順調な仕上がりをアピール。2年目の育成左腕・本前郁也も同試合で3回をパーフェクトに抑えるピッチングを見せ、支配下昇格を薦める声があちらこちらから飛んでいる。翌25日の同カードでは法政大学からドラフト1位で入団した鈴木昭汰が先発して、こちらも3回1安打無失点。中村が開幕ローテ入りを手にするには、このチーム内競争をまず勝ち上がらなければいけない。
「小島は、昨年良い成績を残して、先発の軸としてもチームに貢献していたと思うので、尊敬と言いますか『凄いな』と感じる部分もありました。でも、そこは同期で入った選手なので、切磋琢磨で自分も負けないように頑張ろうという気持ちになります」