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原口健飛とは何者か? “空手とボクシングをキックで融合”に成功したが、白鳥大珠戦に「めっちゃビビってます」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2021/02/27 17:03
昨年10月、直樹(右)を下した原口健飛はいよいよ白鳥大珠との闘いに挑む
那須川天心と原口の共通点とは
奇しくも原口は“神童”那須川天心と同い年。かつてフェザー級で闘っていた時代には那須川との一騎討ちも視野にいれていた。天心も通常のセオリーには当てはまらない存在なので、ともに全くニュータイプのキックボクサーということができるだろうか。
伊藤は「天心と原口は思考も似ている」と捉えている。「どちらも攻撃一辺倒ではなく、相手の攻撃をもらわないようにしている。そういう部分でも競技に対する考え方は重なり合う。そして、みんな真似しようと思っても真似できない。それぞれオンリーワンという部分でも似ていると思いますね」
一方の白鳥はRISEに参戦する前、プロボクシングやムエタイを経験しているので、「ボクシングとムエタイがベース」と見る向きもあるが、伊藤代表はこれを否定する。
「白鳥のファイトスタイルは昔からのキックの王道スタイルです。パンチからキックのコンビネーションを主体にしている」
「今回も、めっちゃビビっています」
だとしたら、今回の頂上対決はオンリーワンスタイルvs.王道という対立図式のうえに成り立つのか。いや、ここで、もうひとつ原口の特性を伝えなければなるまい。こんなに強いのに、「めっちゃビビリ」であることを公言しているという点だ。
「今回も、めっちゃビビっています。でも、それが僕なんでいいんじゃないですかね」
白鳥戦に向け、原口は勝負のキーポイントはフィジカルにあると分析する。
「蹴りもパンチもフィジカルが上がれば、全て上がる。白鳥選手には身長や手足の長さだけではなく、顔も負けている。向こうは男として完璧じゃないですか。ほとんど負けているのでムカつくけど、強いて言うなら身体だけは勝っている。ここだけは僕の方が男前かなと思うんですよね」
ここ数年で階級はフェザー級からスーパーライト級まで上がった。それも、全て熱心に取り組むフィジカルトレーニングのおかげか。原口は白鳥戦でも、神童とはまた別の全く新しいキックボクシングを魅せてくれるのか。