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夫が育児と家事を受け持ってくれるからこそ、ブラジル男子柔道監督に… 日本人女性指導者に直撃インタビュー
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAFP/AFLO
posted2021/02/24 17:10
2018年頃の藤井裕子監督。そのキャリアは非常にユニークだ
英国、ブラジルでコーチとしてメダル獲得に貢献
藤井裕子さんは、愛知県大府市出身。中学、高校では全国大会で上位に入ったが、その後、伸び悩む。24歳で現役を引退し、英国留学中に柔道の指導を始める。英国女子代表のコーチとなり、2012年ロンドン五輪で12年ぶりのメダル獲得に貢献した。
2013年、ブラジル男女代表の技術コーチに就任。愛弟子の1人であるラファエラ・シウバが、自国開催の2016年リオ五輪女子57kg級で悲願の金メダルを獲得した。ブラジルでの指導者生活は、もうすぐ8年になる。
夫の陽樹さんは、東京生まれ。その後、群馬県沼田市へ移り、高校サッカー部でFWとして活躍した。高校卒業後、東京の専門学校で2年間、スポーツトレニーングを学び、東海大体育学部に入学。2年次に、神奈川県平塚市の中学で体育の非常勤講師として働く。神奈川県の小学校教員採用試験に合格し、卒業後、欧州旅行中にロンドンで裕子さんと出会った。帰国後、平塚市の養護学校で教員として働いたが、教員を辞めて一緒にブラジルへ渡り、“専業主夫”を自称する。
そんな2人に、じっくり話を聞いた。
吉田秀彦、谷本歩実らを輩出した道場で
――裕子さんが柔道を始めたきっかけは?
「5歳のとき、母親が足首を捻挫して整骨院で治療を受けた。その整骨院の先生が柔道の指導者で、道場を持っておられた。当時、私は大柄だったので、『ぜひ柔道をやりなさい』と勧められたのです」
◆ ◆ ◆
裕子さんが柔道を始めたのは、大石康さんが主宰する大石道場である。この道場は基本を徹底的に叩き込むことで知られる。1992年バルセロナ五輪男子78kg級金メダルの吉田秀彦、裕子さんと同世代で2004年アテネ五輪と2008年北京五輪の女子63kg級で2連覇を遂げた谷本歩実、2016年リオ五輪女子48kg級で銅メダルを獲得した近藤亜美らを輩出。1992年以来、7大会連続で五輪に選手を送り込んでいる。
――柔道は、最初から好きになったのですか?
「そうでもないんです。道場の見学に行ったら、いきなり男の子に投げられて頭から真っ逆さまに落ち、『こんなスポーツ、嫌だ』と思った。でも、練習している子供たちが楽しそうだったし、母親も他の子のお母さんたちとの井戸端会議を楽しんでいたようなので(笑)、通うことにしました」
――柔道のどこが好きになったのですか?
「私は運動神経が良い方ではなく、他のスポーツは駄目。でも、柔道はコツコツ地道に練習すれば上達する。そこが自分に向いていると思ったんです」
――その後は?