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【ロッテ期待の長距離砲】“秋田四天王” 山口航輝が目指す理想の右バッターは? …滞空時間の長さは天性の才能
posted2021/02/23 17:02
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
JIJI PRESS
2月1日にスタートした千葉ロッテ石垣島春季キャンプ。安田尚憲、藤原恭大、佐々木朗希ら、近年のドラフト1位選手たちにメディアの注目が集まる中、異彩を放つ1人の若手選手がいた。
プロ3年目の山口航輝である。秋田県の明桜高校出身、今年8月に21歳になる外野手だ。
高校時代は、金足農の吉田輝星(現・日本ハム)、由利工の佐藤亜蓮(現・仙台大)、能代松陽の佐藤開陸(現・TDK)らと共に「秋田四天王」と並び称される県内屈指の好投手だったが、プロ入り後は「投」を捨て、「打」に専念することで一流を目指す道を選んでいる。
山口のセールスポイントは、滞空時間の長い打球を飛ばすことだ。しかも、引っ張ったレフト方向の打球だけじゃなく、センターはもちろん、深い右中間にも運べる天性の才能を持つ。同学年で同期入団の藤原、1学年上の安田らとは、また違う魅力を感じさせる稀な存在なのだ。
SNSでも話題になった豪快弾
その才能は、キャンプ第2クールに行われたフリー打撃でも光っていた。2月8日、ドラフト1位ルーキー左腕・鈴木昭汰がフリー打撃に登板すると、内角球を左中間へ、外角球を右中間へ運んで球場内の視線をさらうと、翌日も左腕・山本大貴からセンターバックスクリーンに運ぶ豪快な一撃を放ち、SNS上では山口に期待する声が多く上がっている。
とはいえ、一軍での実績はまだない。
1年目はイースタンで114試合に出場し、打率.238、本塁打6、打点29。2年目は全70試合に出場して、打率.258、本塁打7、打点30と前年の成績を全て上回ってみせたが、それでも、一軍昇格の声はかからなかった。
藤原らが着々と一軍で実績を積んでいく中、自分にはそのチャンスが巡って来ない。やるせない想いだけが心の中に募っていった。
「昨年1年間、一軍に上がれなかったのは自分の中でも悔しかったですし、その悔しさを持って、今はやっています。その分、今年は頑張りたいなと……」