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《追悼》日本一のスコアラー・安田猛 95年、野村監督とともにイチローを封じた“7×9の魔法陣”とは
posted2021/02/23 11:03
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Sankei Shimbun
元ヤクルト投手の安田猛さんが20日午前2時30分、胃がんのため東京都内の自宅で亡くなっていたことが分かった。73歳だった。現役引退後、スコアラーとして同球団を支えていた安田さんが、野村克也監督のもと挑んだ1995年日本シリーズを振り返った記事を特別に公開します。
1995年日本シリーズ、天才打者イチローを封じない限り日本一はない状況で、野村はいかに策を組み上げたのか。分析を担った名スコアラーが、その全容を語る。
【初出:Sports Graphic Number999号(2020年3月12日発売)「日本一のスコアラーが振り返る イチローを封じた7×9の魔法陣。」/肩書などはすべて当時】
1995年日本シリーズ、天才打者イチローを封じない限り日本一はない状況で、野村はいかに策を組み上げたのか。分析を担った名スコアラーが、その全容を語る。
【初出:Sports Graphic Number999号(2020年3月12日発売)「日本一のスコアラーが振り返る イチローを封じた7×9の魔法陣。」/肩書などはすべて当時】
ストライクゾーンは25分割、ボールゾーンも含めれば、スコアラーからバッテリーに指示されるゾーンは63分割されていた。高めのボールゾーンは6、低めのボールゾーンは0。ストライクゾーンの高低は、高めから5、4、3、2、1とナンバーリングされている。内外角はさらに細かく9列に分割されていて、右バッターの内角への明らかなボールゾーンを1、きわどいボールゾーンが2、内角いっぱいのストライクが3、やや内寄りのストライクが4、真ん中が5、やや外寄りは6、外角いっぱいが7、外角へギリギリ外れたボールが8、外角への明らかなボール球を9とする。
つまり右バッターの内角(左バッターの外角)低めいっぱいのストライクは“31”、外角(左バッターの内角)高めのストライクは“75”、真ん中低めのボール球は“50”、真ん中高めのボール球が“56”、ど真ん中は“53”ということになる。
野村から教えられた“2つの鉄則”
野村克也が監督を務めたスワローズで5年間、一軍のピッチングコーチを務めていた安田猛は、1995年には先乗りスコアラーを任される。その年、スワローズはリーグ優勝を果たし、日本シリーズで(オリックス・)ブルーウェーブと対戦することになっていた。
スワローズのスコアラー陣はシリーズを前に、野村からイチローを丸裸にするよう、指令を受ける。シーズン最多安打を達成、2年連続で首位打者を獲得していた22歳になろうかというイチローの膨大なデータを前に、安田は野村から教えられた2つの鉄則を思い起こしていた。