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【ロッテ期待の長距離砲】“秋田四天王” 山口航輝が目指す理想の右バッターは? …滞空時間の長さは天性の才能
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byJIJI PRESS
posted2021/02/23 17:02
キャンプで好調ぶりをアピールした山口航輝。豪快な一打を見たファンたちから早くも期待の声が上がっている
福浦、松中の指導で「打球が飛ぶようになった」
昨秋のフェニックスリーグでは、オリックスの本田仁海、横浜DeNAの宮城滝太の2人の投手から、苦手としてた変化球を叩いて本塁打にするなど、成長の跡も窺わせる。
「プロに来た当初は、ひとつにこだわるのではなく、どれがしっくりくるのかを自分で見極めながら、色々と変えたりもしました。打ち方は(高校時代と比べて)だいぶ変わっていると思います」
高校時代はスクエアで構えていたスタンスも、福浦和也二軍ヘッド兼打撃コーチや、堀幸一育成総合兼育成打撃コーチらの薦めもあって、オープンスタンスに変えると、ボールの見極めは格段によくなり、ボール球も振らされないようになってきた。さらに、今春のキャンプでは臨時打撃コーチを務めた松中信彦から、より下半身を使ってボールを飛ばすことを伝授され、持ち前の長打力に磨きをかけている。
「(自主トレで)下半身を鍛えてきたのもありますし、松中さん(臨時コーチ)に教わってから、実際に打球が飛ぶようになった感じもしています」
2月13日から始まった練習試合では、3試合を消化した18日の時点で待望の本塁打はまだ出ていないが、それでも18日に行われた東北楽天戦では、楽天の釜田佳直の執拗な変化球攻めにも釣られることなく、しっかりと四球を選ぶなど対応。懐の深さも感じさせた。
目標は鈴木誠也、心に残る三家のアドバイス
山口には目標とする選手がいる。それは広島東洋カープの鈴木誠也だ。
鈴木のことは、広島時代に一緒にプレーして交流も深いという三家和真(元ロッテ)から話を聞かせてもらった。
「どういう練習を、どんな意識でやっていたのか、そうした話もたくさん聞かせてもらって、それも自分にとってプラスになりましたし、細かい部分も色々分かったので、それは良い経験をさせてもらったんじゃないかなと思っています」
三家は昨年、ロッテから戦力外通告を受け、スカウトに転身。兄貴分のように慕っていた先輩は、もう一緒のグラウンドに立つことはない。恩返しをするには、これから自分が一軍で結果を残すしかない。
「三家さんからは『鈴木誠也さんの真似をするんじゃなくて、自分の形でしっかり練習しろ』と言っていただきました。自分も、その通りだと思いましたし、やるのは自分自身なので。参考にする部分は参考にして、その分、しっかり練習しようと思います」