酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
今永昇太に山崎康晃、三上朋也や田中健二朗の鋭い眼光… 仁志敏久監督とDeNAファーム春季キャンプの充実ぶり
posted2021/02/23 17:04
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
「本土から来た人は知らないだろうけど、2月の沖縄は雨期なんよ」タクシーの運転手は話した。そうなのだ。沖縄の春季キャンプは雨が多いのだ。今年は2月11日から雨がちとなった。
雨天時の春季キャンプは取材陣には「取れ高」が少なくなる。選手はグラウンドに出ず、室内練習場で体を動かすからだ。しかも今年は新型コロナ禍、取材できるエリアが限定されている。屋内には立ち入ることはできない。
米軍嘉手納基地にほど近いDeNAのファームキャンプは2月12日と14日に取材した。両日とも雨が降ったりやんだり、メイングラウンドは使えず、室内練習場でのメニューになった。
投手陣はストレッチから投内連携、野手陣はキャッチボールからティーバッティングという流れだ。
正念場の乙坂、リハビリ途上のエース今永
乙坂智がバットを振っている。シルエットだけですぐに彼だとわかる。
経歴として筒香嘉智(横浜高校→横浜/DeNA)の後輩でありシャープな左打者だが、昨年は佐野恵太が台頭し外野のポジションをつかんだ。梶谷隆幸が巨人に移籍した今年は勝負の年だ。乙坂は、車で20分ほどの宜野湾市にある一軍キャンプに早く合流したいことだろう。
少し晴れ間が出た。メイングラウンドと道を隔てて隣接する陸上競技場では、今永昇太が遠投をしていた。左肩手術からのリハビリ途上。取材した時点ではまだブルペンには入らず調整中(2月18日に初ブルペンで20球を投げる)。身体を大きく使ってボールを投げていた。
ファームキャンプでは新人選手は影が薄く、一軍でのキャリアがある選手の方が圧倒的に存在感がある。彼らは一刻も早く一軍に復活しようとしているから、文字通り目の色が違うのだ。とりわけ救援投手。火の出るような過酷な環境で投げてチームに貢献したものの、故障や不振でファームに落ちている。そんな投手がどの球団でも何人か見られるのだ。