松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
「緊張する感覚がわからない」松岡修造も驚く、パラ射撃の新星・水田光夏の規格外のメンタル
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2021/03/07 06:02
試合ですら緊張しないという水田光夏選手。初対面の松岡さんにも冷静な対応だった
水田:ただ試合の60分間、ずっと集中しているわけではありません。私の場合、弾を入れてから銃を構えて、引き金を引いて、撃つまでを集中しています。リズムとしては1発に35〜40秒かけて、10発ごとに休憩を挟んで、それを6回繰り返すという感じです。以前は60 分が長く感じて後半に得点が落ちることがあったんですけど、休憩を挟んで気持ちをリセットできるようになってから、それがなくなりました。射撃って、とてもリズムが大事なんです。
全日本選手権初出場で首位と僅差の2位に
松岡:パラリンピックを意識し始めたのはいつぐらいだったんですか?
水田:2017年11月に初めて全日本選手権(全日本障害者ライフル射撃選手権)に出場したとき、たまたま結果が良くて、競技として射撃というものをちゃんとやっていこうと思って。やるからには最高峰のパラリンピックに出るというのを一番の目標にしていこうかなと思いました。
鳥居:全日本選手権初出場で、パラリンピックに3大会出場した瀬賀亜希子さんに0.5点差の2位だったんです。ものすごい接戦になって、関係者がみんなびっくりしました。
松岡:それは僕が光夏さんでもパラリンピックに出たいという気持ちになったと思います。2019年の世界選手権で東京パラリンピック日本代表に内定したときはどういう気持ちでしたか? 「やったー!」ってお母さんと抱き合った?
水田:いえ、点数があまり良くなかったので。
松岡:そんなの関係ないじゃないですか。内定したんですから。
水田:目標点数というのがあるので、私にとって射撃は自分との戦いなんです。
松岡:いやいやいやいや、パラリンピックに出られるかどうかが大事じゃないですか。
水田:そうなんですけど……男女混合の試合の中で1つあった女子の出場枠に入れたのですが、それが分かったのは試合が終わって少したってから。試合が終わった瞬間は点数を見て「やっちまったな」という感じだったんです。日本を出発するとき鳥居コーチと「この点数を目標にしよう」と話していたのに、全然そこに届いていなかったから「ヤバイな〜」っていうのが一番でした。