ここまでの文脈は僕の見解であり、「宗教」と距離をとりがちな国民性に対する、サッカーを介した見方の提案です。日本人を断定的に定義する訳でも、宗教観が劣後していると言いたい訳でもありません。

　そして、僕が改めていうことでは全くありませんが、信仰は自由で、宗教はタブーではありません。むしろ、世界で（特にサッカークラブで）仕事をするようになれば、宗教や信仰を持たない人のみで構成される集団というのは少ないです。

　日本のような「多くの人が自分でも説明できない信仰形態」を持つ民族は少数派であることを自覚したその先で、相手の信仰に対する興味と理解と尊重を持つことが、これから海外でサッカーをしていく選手たちの鍵になるかもしれません。自分が強引に信仰を持つ必要は一切ありませんが、宗教教育・宗教理解は、決して疎遠にするべきものではなく、ボールコントロールや語学習得と同じくらい、日本人選手の可能性を広げることになるのではないかと、個人的には考えています。僕たちには、未開の可能性がたくさん残されているのではないでしょうか。