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親子王者なるか? 偉大すぎる父ミハエルの背中を追う、ミック・シューマッハーがF1デビュー
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2021/02/12 11:01
父と同じく22歳になる年にF1デビューするミック。赤が似合うのはシューマッハ家の血脈か
その後、ミックはF3のヨーロピアン選手権を制するなど四輪のレースでも活躍。昨年、F1への登竜門となるF2でチャンピオンに輝いてハースのシートを獲得し、今年いよいよF1にデビューする。
ミハエルを知る者たちはミックにその姿を重ね、大いなる期待を抱く。しかし、F2での2年間の走りを見る限りは、ミックのドライバーとしての実力は、まだミハエルの域には達していないように思う。
父ミハエルに近づくための課題
昨年、ミックは2年目でF2を制してレース巧者ぶりを披露したものの、この2年間で一度もポールポジションを獲得することはなかった。オーバーテイクが難しいF1では予選でのパフォーマンスがレースでの成績に大きな影響を与える。今後、ミックがF1でもトップドライバーとなるには、いかに早くマシンから限界を引き出せるかが課題となるだろう。
また今年ミックがデビューするチームがハースだということも忘れてはならない。ハースは16年に誕生した若いチームで、F1界で最も規模が小さい。チーム結成当時はそのハンディを他チームとのコラボレーションなどでカバーして跳ね返す活躍を見せた。
しかし、新型コロナによって移動の制限と経済的打撃が小さなチームを直撃。昨年は入賞わずか2回でランキングは10チーム中、9位に終わり、昨年のマシンをベースとして戦わなければならない今年も厳しいレースを強いられるだろう。
それでも、ミックに焦りはない。ミックが選択したカーナンバーは「47」。その意味をミックはこう話す。
「『4』はF3で使用して王者になったときのカーナンバーで、『7』は僕たち家族にとって特別な数字だ(父ミハエルのタイトル獲得回数)。そして、僕たち家族の誕生日を合わせると47になるんだ」
父ミハエルの誕生日は1月3日で、母コリーナの誕生日は3月2日、そして姉ジーナ・マリアは2月20日生まれで、ミックは3月22日生まれ、これらの日付を足し算すると47になる。
F1史上14人目の2世ドライバーとなるミック・シューマッハ。ミックにとってのF1は、父の足跡を辿るのではなく、父を超える挑戦でもない。父ミハエルをはじめ、家族とともに戦う新たな旅となるだろう。