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注目はエディーの寵愛を受けて育った巨漢No.8の暴れっぷり! 欧州ラグビー冬の風物詩で見ておくべき選手
 

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竹鼻智

竹鼻智Satoshi Takehana

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posted2021/02/06 17:00

注目はエディーの寵愛を受けて育った巨漢No.8の暴れっぷり! 欧州ラグビー冬の風物詩で見ておくべき選手<Number Web> photograph by Getty Images

激闘の末、オータムネーションズを制したイングランド代表。エディー・ジョーンズHCは功労者ブニポラを笑顔で迎えた

 日本でもお馴染みのエディー・ジョーンズHC率いるイングランド代表は強固なセットプレーとディフェンス、そして優秀なキッカーによって支えられてきた。「つまらないラグビー」「中立ファンが応援したがらない」という声も聞こえるが、憎たらしいほどにいつも勝ってしまう。

 しかし、今大会は国内に不都合な事情を抱えている。

 代表チームに5選手(SO/CTBオーウェン・ファレル、HOジェイミー・ジョージ、LO/FLマロ・イトジェ、No.8ビリー・ブニポラ、WTB/FBエリオット・デイリー)を送り出しているサラセンズは、サラリーキャップ違反の減点処分を受けたことで、今シーズンはプレミアリーグから2部に降格している。さらに、1部は現在も試合が行われているものの、2部に至っては経済面での事情により、中断されている状況だ。即ち、代表チームでも主軸を担う彼らの試合勘が懸念されているのだ。

 そんな不安を払拭したのが渦中の1人であるブニポラだ。

「まずは代表の仲間たちに会えて嬉しい。試合がない間は、動き回るトレーニングを重ねてきた。現在、サラセンズの公式戦はないが、練習試合には出ている。シックスネーションズ前の代表合宿に向け、厳しく自分をいじめてきた。調子はいい状態にある」

 188cm、126kgという巨体ながら、ダッシュ力に定評があるブニポラ。相手ディフェンスの壁を確実に押し込み、守っては相手を強烈に仕留めるタックルは常に対戦チームの脅威となってきた。類稀な身体能力を持って生まれた者の宿命か、これまで度重なる負傷に苦しめられてきたが、今大会は万全のコンディションで臨めそうだ。

「(同じFW第3列を務める)トム(・カリー、FL/No.8)とサム(・アンダーヒル、FL)とは、グラウンドの外でも仲良くやっている。今大会はサムにとっては残念だが(怪我で出場を断念)、すぐに戻ってくるだろう。FW第3列には才能のある若手が多く、自分もうかうかしていられない。これは、サムとトムにとっても同じだろう。とにかく、代表合宿に来ることができて嬉しい。(コロナ規制により)しばらく家には帰れないが、仲間たちと優勝に向けて全力で戦う」

 22歳のカリー、24歳のアンダーヒル、そして28歳のブニポラを中心としたバックローの働きはイングランドの命運を握る。日本と同組となった2023年W杯でも間違いなくキーマンとなる選手たちだ。エディーの寵愛を受けて育った8番の暴れっぷりに注目してほしい。

若き“レ・ブルー”を牽引するSH

 自国開催となる2023W杯へ向け、強化が進むフランス代表。昨年HCに就任したファビアン・ガルティエのもと鍛え上げられる“レ・ブルー”の平均年齢は25歳を下回る。ここまで長く低迷期にあるとされてきたフランスは19年W杯でも準々決勝敗退と振るわなかったが、昨年のシックスネーションズ開幕戦でイングランドを倒すという番狂わせを演じた。

 その心臓部を担ったのは、SHアントワーヌ・デュポン(24歳)とSOロマン・ヌタマック(21歳)だ。

 松島幸太朗もプレーするフランス国内リーグ「TOP14」の強豪としても知られるスタッド・トゥールーザンでもコンビを組む2人が奏でる展開は、正に伝統的なシャンパンラグビーの象徴とも言える。

 しかし、ヌタマックは昨年末に行われた試合で顎の亀裂骨折という重傷を負い、離脱中。今大会も最終戦に間に合うかどうか、という状態だ。司令塔を失った分、一層デュポンに懸かる期待は大きい。

 昨年度大会で最優秀選手賞に輝いた9番は、正確で距離も出せるパス、キックというプレーメーカーとしての必須条件だけでなく、スピード、フットワーク、そしてオフロードパスの使い手としても評価が高い、アタック力に長けたSHだ。

 フランスラグビーではよく「SHが上手くできるのなら、SOも上手くできるだろう」と言われるが、ガルティエHCが実際にこのカードを切り、デュポンが10番の位置に立つ……そんな期待を抱いてしまうほど、彼の万能ぶりには驚かされるのだ。

 大男たちが集まる中で動き回る小兵が、プレッシャーが大きい中でもこれまで通りのプレーを見せることができるか。そこが分岐点となりそうだ。

【次ページ】 アイルランドはセクストン頼み?

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