“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「僕らは最強の世代じゃない」鈴木徳真&渡邊凌磨がいた“前橋育英”から7人がJ1に!<選手権V逸から6年>
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2021/01/30 11:01
多くのJリーガーを生み出している2014年度の前橋育英。当時主将を務めていた鈴木徳真は昨季、徳島のJ2優勝に貢献し、今季はいよいよJ1のピッチに立つ
「最強の世代ではない」
「僕らは最強の世代ではないと思います。でも、練習からライバル心むき出しの真剣勝負を繰り広げていて、毎日の練習がまさに戦いだった。選手間で意見をぶつけ合っていたし、白熱しすぎて練習中に凌磨と佳穂が取っ組み合いの喧嘩をして、山田(耕介)監督に怒られることもあった。僕はキャプテンとしてそういうみんなの姿を心強く思っていたし、『本当にいいチームだな』と思っていた。常に本気を出すというのが当たり前の環境だったからこそ、大学でも手を抜かずにサッカーに打ち込んで、プロの厳しい世界でも自分を強く持って取り組めたからこそ、みんながサッカー選手として花を咲かせようとしているのだと思う」
根っからのサッカー小僧と負けず嫌いの集合体。今もその熱い思いは変わらない。
「ライバルがたくさんいて、本当に幸せだなと思います。僕は相当負けず嫌いですから、他の選手が活躍する姿を黙って見てきたわけではない。すべて自分の成長の材料にしてきました」(小泉)
「今、思うと幸せな環境でサッカーをさせてもらっていたと思います。高校の3年間はずっと周りに引っ張ってもらったからこそ、今があると思っています」(坂元)
高校を卒業して6年の歳月が経った。「大器晩成」の彼らがJ1の舞台でどんなプレーを見せるのか。
「みんなで前橋育英の名前をどんどん世に広めていきたいと思っているので、ライバルとして、仲間として刺激を受けながら、大きなステージで活躍できるようにしたい。一瞬の輝きだけで終わりたくないので、みんなで輝き続けることこそが、僕らがやるべき大事なミッションだと思っています」(鈴木)
十人十色の人生を歩んできた仲間と最高の刺激を与え合いながら、切磋琢磨し続ける。彼らが高校で手にした時間は、今も大きな財産としてそれぞれの原動力となっている。